【まとめ】Eric Johnson/エリック・ジョンソンの使用機材【アンプ・ギター・エフェクター】

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国内外で活躍するギタリストの愛用機材をまとめて取り上げる「プレイヤーズ・リグ」

「ギターの音に透明感を出したい」「滑らかなリードトーンを手に入れたい」──
そんな願いを持つギタリストなら、一度は耳にしたことがあるであろう

Eric Johnson

グラミー賞受賞曲「Cliffs of Dover」で世界を驚かせ、
“バイオリンのように歌うトーン”や“空気が澄み渡るようなクリーンサウンド”で多くのギタリストに影響を与えてきた彼は、そのトーンの秘密を徹底した機材選びと細部へのこだわりに宿しています。

本記事では、Eric Johnsonがキャリアを通じて使用してきたギター、アンプ、エフェクター、
そして弦やピックといったアクセサリー類まで網羅的にご紹介。
それぞれの機材が、どのように彼のあのサウンドを支えているのかを、深掘りしていきます。

目次

Eric Johnson|Profil

生年月日:1954年8月17日
出身:アメリカ・テキサス州オースティン

Biography

幼少期〜音楽との出会い

Eric Johnson(エリック・ジョンソン)は、1954年8月17日、アメリカ・テキサス州オースティンに生まれました。
音楽一家に育ち、幼い頃からピアノやギターに自然と親しむようになります。
11歳のときにギターを手にしてから、その才能は急速に花開いていきました。

ビートルズやジミ・ヘンドリクス、ジェフ・ベック、クリームなど60年代のロックサウンドに影響を受けながらも、
同時にクラシック音楽やジャズ、ブルース、カントリーといった幅広いジャンルに触れたことが、
彼の多彩で緻密な音楽性の基礎を作っています。

スタジオミュージシャンとしてのキャリア初期

10代後半にはプロの現場での演奏を始め、1974年にはジャズロックバンド「The Electromagnets(エレクトロマグネッツ)」に加入。
アメリカ南部を中心に精力的なツアー活動を行い、ジャズとロックの要素を融合させた高度な演奏力で注目を集めます。

バンド解散後もソロアーティストとしての活動を続けながら、Cat StevensやCarole King、Christopher Crossなど
名だたるアーティストのセッションに参加し、スタジオミュージシャンとしての実績を着実に積み重ねていきます。

『Tones』でメジャーデビュー

1986年、30歳を超えてようやくメジャーレーベルReprise Recordsからリリースされたソロアルバム『Tones』。
Eric Johnsonの名を世界に知らしめるきっかけとなった作品であり、ここに収録された「Zap」はグラミー賞にノミネートされます。

この頃すでに、彼の代名詞とも言えるクリスタルのように澄んだクリーントーンと、
空間的な広がりのあるリードトーンが確立されていました。

『Ah Via Musicom』と「Cliffs of Dover」の大成功

1990年、2ndアルバム『Ah Via Musicom』をリリース。
ここに収録された「Cliffs of Dover」は、後に**グラミー賞「ベスト・ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス」**を受賞し、
世界中のギタリストの間で一大センセーションを巻き起こします。

甘美なリードトーン、驚異的な正確さの速弾き、音符の一粒一粒に意味を持たせたメロディライン──
この1曲で彼は“技巧派ギタリスト”という枠を超え、**「トーンの魔術師」**としての地位を確立しました。

その後の活動と現在

『Venus Isle』(1996)、『Bloom』(2005)、『Up Close』(2010)、『EJ』(2016)など、
以降もコンスタントに作品を発表し続けながら、G3ツアーへの参加、ギターフェス出演など多彩な活動を展開。
クラシックギターアルバムの制作やジャズアレンジ、アコースティック編成でのライブなど、
キャリア後半にかけてより広い音楽的チャレンジを行っています。

現在もテキサス州オースティンを拠点に、レコーディング・ツアー・教育活動を継続中
最新作『The Book of Making』や『Yesterday Meets Today』では、
キャリアの集大成とも言える円熟のプレイとプロダクションセンスを披露しています。

Eric Johnson|Play&Music

「Cliffs of Dover」 Live from Austin, TX(1988)

ファンなら絶対に外せない、エリック・ジョンソンの代名詞「Cliffs of Dover」。
これは1988年、名門番組Austin City Limits出演時の伝説的な映像です。

イントロの“あの”透き通ったサウンドから、もう完全にエリック・ワールド。
彼特有の「バイオリン・トーン」が、これでもかと美しく鳴り響きます。
ピッキングの粒立ち、フレージングの滑らかさ、音色のコントロール、どれを取っても完璧。
しかも、ただ上手いだけじゃない。ギターで「歌う」ってこういうことかと感じさせられます。

特に中盤以降のリードプレイは、“音楽”と“テクニック”が完全に一体化していて、
ギタリストだけでなく、音楽好き全員に刺さるパフォーマンス。
初めて見るなら、まずここから。

「Manhattan」 Live at Paramount Theatre(2023)

こちらは2023年「Treasure Tour」から、珠玉のインスト曲「Manhattan」のライブ。

いやもう…空気ごと美しくなったんじゃないかっていうレベル。
コードのボイシング、音符の置き方、ニュアンスのつけ方、すべてが極上。
彼のジャズ/フュージョン的なセンスが爆発していて、まるでギターで会話しているみたい。

しかも、本人の演奏の「余裕」みたいなものが滲み出てて、
速弾きの“間”すら聴かせる、圧倒的な表現力。
晩年のエリックを象徴する、**「円熟した音楽家の境地」**がここにあります。

「Zap」 Live from Austin, TX(1988)

「Zap」はエリック・ジョンソンの初期代表曲ですが、この1988年Austin City Limits版は別格。

クリーントーンとディストーションを完璧なダイナミクスコントロールで行き来し、
柔らかく始まったかと思えば、一気に熱量が爆発。
ギター1本で宇宙を描いているかのような、信じられない情感が詰まっています。

テクニックが凄いのはもちろんだけど、凄さをこれ見よがしに押し付けない。
あくまで自然体で、でも超絶にエモーショナル。
**「音に乗せて、感情がそのまま流れ出る瞬間」**が味わえる、ファンなら涙モノのパフォーマンスです。

Eric Johnson|愛用機材【ギター】

Fender / Stratocaster

機材解説

エリック・ジョンソンのメインギターといえばFender / Stratocasterです。
キャリアを通じてビンテージのストラトキャスターを偏愛しており、50年代後半から60年代前半のストラトを中心に使用しています。
代表的なのは1954年製ストラトキャスターで、エリックはこのギターに“ヴァージニア(Virginia)”という愛称を付けて長年愛用しました。
ヴァージニアはアルバム『Tones』や『Ah Via Musicom』のレコーディングにも使われ、サスアフラス材のボディと特別な配線による豊かなトーンを持つギターです。
Fender社からはこの“1954 Virginia”ストラトを再現したシグネチャーモデルも限定発売されており、レアな木材やカスタム配線などエリックのこだわりが忠実に反映されています。

エリックは自身のストラトにいくつか改造を施して独自の使い方をしています。
たとえばリアピックアップにもトーンコントロールが効くよう配線を変更し、高音の角を取ったまろやかなリードトーンを実現しています。
またブリッジ(※トレモロ)のスプリングカバー(裏蓋)は取り外して共振を増やす、ピックガード下にアルミ箔を貼ってノイズを軽減する、といった細部にも気を配っています。
ピックアップはヴィンテージトーンを好みつつも出力やノイズとのバランスを考え、ブリッジにはDiMarzioのHS-2スタックハムバッカーを搭載することもあります。
この改造により、有名な『Ah Via Musicom』期のリードトーンを再現できるといいます。
ストラトキャスターのシングルコイル特有の繊細さとカスタムによる実用性を両立させている点に、エリックのトーンメイキングへの探求心が表れています。

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Fender / Telecaster

機材解説

Fender / Telecaster(テレキャスター)は、代表曲「Steve’s Boogie」などカントリー調のナンバーで使用されています。
エリックは本人がフェンダーに特注したヴィンテージ・リイシューのモデルを所有しており、1曲のみの用途に限定して使い分けるほど音色とフレーズにこだわりを持っています。

Gibson / ES-335

機材解説

Gibson / ES-335などのセミアコースティックギターもエリックのレパートリーに登場します。
ジャズ風のトーンを追求したい場面や、レコーディングにおいて太く丸みのある音色が求められる場合に使用され、
ストラトとはひと味違う艶やかでウォームなサウンドを響かせています。

Martin / D-45(他アコースティック)

機材解説

アコースティックギターでは、Martin社のスチール弦モデル(主にD-45クラス)が使用されています。
代表曲「Song for George」などのフィンガーピッキング・インストゥルメンタルでは、マーティンの透明感ある鳴りと
豊かな倍音が活かされ、エリックの繊細なタッチがより立体的に表現されています。

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Eric Johnson|愛用機材【アンプ】

Fender / Twin Reverb

機材解説

クリーントーンを支える要となっているのがフェンダーのツインリバーブ(Twin Reverb)です。
エリックはビンテージのブラックフェイス期(1960年代中期)のTwin Reverbを愛用しており、ステレオで2台使用してクリーンサウンドに幅と奥行きを持たせています。
85W級の強力な出力と2発の12インチスピーカーによる巨大なヘッドルームを活かし、音量を上げても歪まない澄みきったクリーンを実現しています。
エリック自身、「良いトーンはまず純粋でシンプルなクリーンサウンドから始まる。
だからシルバーフェイス期のFender TwinやPro Reverbのようにピュアな音の出るアンプを勧めるんだ」と語っており、クリーン基調のアンプで作った土台の音にエフェクトや歪みを加えていく手法を重視しています。

エリックのTwin Reverbのセッティングは概ね固定されており、ボリュームは4~5程度に抑えてクリーンを保ちつつ、トレブルとプレゼンスを高めに設定して「キラキラ」とした高音域の輝きを出しています。
中音域はギター側のトーンコントロールやエフェクターで調整し、低音域はバンドの中で埋もれないよう適度にカットしています。
またリバーブは内蔵のスプリング・リバーブを薄くかけ、奥行きを与える程度にとどめます。
ライブでは2台のTwinをステレオ配置し、それぞれの出力をマーシャル製4×12キャビネット(Celestion製スピーカー搭載)に繋ぐことで、クリーンサウンドにもかかわらず迫力のある広がりを実現しています。
このようにTwin Reverbはエリックのクリーントーンの要であり、「音のキャンバス」として機能する重要なアンプです。

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Marshall / 100W Plexi

機材解説

クランチからリードトーンにかけて活躍するのがマーシャルの100Wアンプ、いわゆるプレキシ(Plexi)と呼ばれる1960年代後期のモデルです。
エリックは1968~69年製のマーシャル「スーパーリード(1959型)」「スーパーベース」等を所有しており、主に50Wと100Wのヘッドを使い分けています。
例えば1969年製の50W Plexiヘッドをメインに使用し、同年製100Wヘッドをバックアップとして控えさせるというセットアップをとることもあります。

マーシャルはフェンダーに比べて早い段階で真空管が歪み始めるため、エリックはこれをリード専用アンプとして位置付け、ボリュームを上げてパワー管をしっかりドライブさせています。
こうすることで得られる分厚いサステインと独特のコンプレッション感が、彼の“バイオリン・トーン”の源泉となっています。

マーシャル側のセッティングは、プレゼンスとトレブルをやや控えめに、中低音域を豊かにする傾向があります。
これはストラトキャスターのシングルコイルによる鋭い高音が尖りすぎないように配慮したもので、結果として歪んでいるのに耳当たりの良い滑らかなリードサウンドを生み出しています。
エリックはマーシャルアンプにも外部キャビネットを組み合わせ、ヴィンテージのグリーンバック・スピーカーやエレクトロボイスEVM12L(高耐入力スピーカー)を用いて音圧と明瞭度を両立させています。
ツインリバーブのクリーンとマーシャルのリードをフットスイッチで切り替えながら演奏し、曲に応じて理想的な質感の歪みを引き出しているのです。

Dumble / オーバードライブ・スペシャル系アンプ

機材解説

エリック・ジョンソンの所有機材の中でも最も伝説的なのが、ハワード・ダンブル氏製作のDumbleアンプです。
ダンブルアンプはカリフォルニアのアンプ職人アレクサンダー・“ハワード”・ダンブルによって一台一台ハンドメイドされるカスタムアンプで、選ばれたごく一部のギタリストにしか行き渡らない「幻のアンプ」として知られています。
エリックは運良くこのダンブルアンプを入手した一人で、「Overdrive Special」や「Steel String Singer」といったモデルを基に特別製作されたプレamp+パワーampのセット(通称“Manzamp”)を使用していました。
このアンプは非常にパワフルで音量が大きいため頻繁には使われませんでしたが、代表曲「Zap」など一部のレコーディングでその澄み渡るクリーンと滑らかなドライブサウンドが活かされています。

ダンブルアンプの音質は「フェンダー系クリーンの倍以上のカラーパレットを持つ」と評され、エリックはその奥行きあるトーンに強い感銘を受けたといいます。
実際、フェンダーTwinのような煌びやかなクリーンにマーシャルのような張りのある歪み特性が加わり、ボリューム操作に対する追従性も抜群です。
エリックはダンブルアンプをスタジオ録音でクリーントーン増強のために使用したり、ライブでもクランチ系の音色に彩りを加える目的で使用したことがあります。
とはいえ非常に貴重かつ扱いの難しいアンプであるため、近年ではツアー等に持ち出すことはほとんどなく、代替として次に述べるTwo-Rockなどのブティックアンプを用いることが増えています。

Two-Rock / Traditional Clean

機材解説

近年エリックが新たに取り入れているのが、米国製ブティックアンプブランドTwo-Rock(トゥー・ロック)のアンプです。
中でも「Traditional Clean」ヘッドは、エリックのクランチ~リズム用アンプとして2010年代後半のツアーから活躍しています。
Two-Rock Traditional Cleanは100W/50W切替可能な高品位クリーンアンプで、フェンダー系の澄んだクリーンにダンブル直系の太さとハイファイさを併せ持つのが特徴です。
エリックはこのアンプをマーシャルの4×12キャビネット(30Wセレッション搭載)に繋ぎ、主にクランチ気味のリズムサウンドを担当させています。

Twin Reverbでは完全なクリーン、Marshallでは深い歪み、そしてTwo-Rockではその中間となる中程度の歪みを担わせることで、エリックはライブで3段階の基本トーンを使い分けています。
Two-Rock使用時には、後述するファズフェイスやチューブスクリーマーで軽く歪みをプッシュし、心地よいクランチとサスティンを得ています。
またTwo-Rockはエフェクトの乗りも良いため、クランチリズム用ボードに組み込まれたMXRのフランジャー・ダブラーやデジタルディレイとの相性も抜群です。
結果として、フェンダーともマーシャルとも異なるモダンで分離の良いクランチサウンドが得られ、バッキングでも埋もれず存在感を示すことに成功しています。
Two-Rockの導入は、エリックが自身のクラシックなトーンを維持しつつ現代的な機材も柔軟に取り入れている好例と言えるでしょう。

Eric Johnson|愛用機材【エフェクター】

VOX / ワウペダル (Wah-Wah)

2017 pedalboard
機材解説

使用しているモデルとしてはVOX社のヴィンテージワウ(V846や現行V845)およびJim Dunlop社のCry Babyワウが挙げられます。
特にライブではジムダンロップCry Baby(GCB95)を踏む姿がよく見られ、曲中の一部で強烈なフィルタ効果を与える際に使用しています。
例えば「Trail Of Tears」などの楽曲ではワウを用いた印象的なソロが聞かれ、スタジオアルバム以上にライブでワウを活かしていることがわかります。

Jim Dunlop / Fuzz Face

機材解説

エリックのリードトーンを語る上で絶対に欠かせないのがファズ・フェイスです。
丸くて大きな筐体が特徴のこのビンテージ・ファズペダルは、ジミ・ヘンドリクスやデビッド・ギルモアらも使用した名機ですが、エリックも十代の頃からそのサウンドに魅了され、自身のペダルボードに組み込んできました。

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Ibanez / Tube Screamer

機材解説

スムーズなオーバードライブサウンドを語る上で外せないペダルがアイバニーズのチューブスクリーマーです。
エリックはテキサス出身という共通点もあるスティーヴィー・レイ・ヴォーンに倣って、古くからチューブスクリーマーを愛用しています。
特にTS-808と呼ばれる1979年発売の初期モデルを好んで使用し、そのミッドレンジを強調したマイルドな歪みでアンプをプッシュしています。

エリック流のチューブスクリーマーの使い方には工夫があります。
一般的にTS系ペダルはクリーンアンプに繋いで単体でオーバードライブサウンドを作るか、
あるいは歪んだアンプの手前でブースター的に使われることが多いですが、
エリックはレベル(ボリューム)を低め、ドライブ(歪み量)を高め、トーンは0という独特の設定で使用しています。
つまりブースト用途ではなく、ペダル自体の歪みを活かしたオーバードライブとして運用しているのです。

この設定により、高域がカットされた滑らかな歪み成分が得られ、
マーシャルやTwo-Rockの真空管歪みにブレンドすることで角の取れた粘りのあるサウンドになります。
エリックはTS-808を主にリズム用の歪みやファズフェイスとのゲインスタッキングに使用します。
Two-RockのクランチチャンネルにTS-808を掛けてブルージーなリズムトーンを作ったり、
ファズフェイスの前段に繋いでファズの挙動を安定化させたりと、多用途に活躍しています。
またTSのバッファ回路は高周波数成分を整える効果もあり、エリックはその点も活かしているようです。

Chandler / Tube Driver

機材解説

エリック・ジョンソンのリードサウンドのもう一つの鍵が、チューブドライバーと呼ばれる真空管オーバードライブ・ペダルです。
元々はB.K.バトラーが設計しChandler社から発売されていたペダルで、小型の筐体に12AX7真空管を内蔵し、チューブアンプさながらの歪みを作り出します。
エリックは1980年代後半からこのペダルを使用し始め、現在に至るまで一貫してボードに組み込んでいる最重要ペダルの一つです。

チューブドライバーはクリーンなアンプに繋ぐことで、まるでクランクアップしたチューブアンプのようなサウンドを得られるのが特徴です。
エリックは主にマーシャルのリードチャンネルにこのペダルを組み合わせ、ファズフェイスとは異なる粘りと太さを持つリードトーンを作り出しています。
具体的には、マーシャル+チューブドライバーの組み合わせで得られるサウンドは、
よりミッドレンジが前に出て音圧がありつつも、ファズのようなザラつきはなく滑らかです。
そのため曲によってファズフェイスと使い分けたり、場合によっては両者をスタックしてさらなる飽和感を狙うこともあります。

Maestro / Echoplex EP-3

機材解説

エリック・ジョンソンの音作りにおける隠し味とも言える存在が、Maestro社のEchoplex(エコープレックス)EP-3です。
これはテープエコー・ユニットの名機で、1960年代からギタリストに愛用されてきました。
エリックも長年このEP-3をラックに組み込み、そのプリアンプ回路による音色の甘味付けを活用しています。
エコープレックス自体はディレイ(遅延)効果を生む装置ですが、エリックの場合、純粋なディレイ用途以上に「音質をまろやかにし太くするためのプリアンプ」としての役割が大きいのです。

具体的には、EP-3をアンプとの間に接続することで信号がわずかにブーストされ、独特の温かみと厚みが付加されます。
この効果により、クリーンでは艶やかさが増し、歪みでは角が取れて滑らかになります。
エリックは常に2台のエコープレックスを用意し、片方をマーシャル系(リード用)、もう片方をフェンダー系(クリーン用)に繋いでいました。
しかしオリジナルのテープを走らせる方式はメンテナンスが大変なため、近年では専門家によってテープメカ部分をバイパス改造し、プリアンプ部だけを生かしたユニットにして使用しています。
さらにCatalinbread Belle EpochやMXR Digital Delayなどモダンなディレイペダルを組み合わせて、テープ無しでも同様のエコー効果を得られるよう工夫しています。

音作りの観点から見ると、エコープレックスはエリックの各サウンドに潤いと空間的広がりを与える重要アイテムです。
クリーントーンではDeluxe Memory Manと組み合わせて深みを出し、リードトーンではチューブドライバーとともに音を艶やかに彩ります。
もしエリックの音作りから一つだけ秘密兵器を挙げるなら、このエコープレックスのプリアンプと言えるでしょう。
「魔法の箱」のように音色を甘くするこのユニット無しでは、あのエリック特有のリッチなトーンは語れません。

BOSS / DD-2

機材解説

ディレイ(遅延)エフェクトもエリックのサウンドに欠かせない要素です。
その中でも初期からボードに組み込まれているのがBOSSのDD-2デジタル・ディレイです。
DD-2は1983年に世界初のコンパクトデジタルディレイとして発売されたモデルで、エリックは1980年代後半以降、このペダルをクリーンサウンドの厚み付けに用いてきました。

エリックの使用方法としては、Twin Reverbによるクリーンリズム用のチェーンにDD-2を組み込み、僅かにディレイ音をミックスすることでプレイに奥行きを与えています。
具体的なセッティングは、ディレイタイムを短め(約300ms前後)、フィードバックも少なめにし、あくまで一回の残響で音に広がりを持たせる程度に留めています。
レベルも控えめに設定し、原音を邪魔しないごく薄いエコー成分として機能させています。
これにより、アルペジオやクリーンカッティングに残響の尾ひれを付け、心地よい残像を作り出します。

またエリックは、このDD-2をデジタルならではの音質劣化の少なさを評価しており、アナログディレイでは得られないクリアな繰り返し音を好んでいるようです。
当時最先端だった12bit ADコンバータ搭載のDD-2は、彼のハイファイ志向のクリーントーンにマッチしました。
近年ではMXRのデジタルディレイ(デジタルタイムディレイ)を追加導入し、より長いディレイタイムやステレオ効果が必要な場面に対応しています。
しかし基本的な短いディレイについては、今なおDD-2が現役でボードに残っています。
派手さはありませんが、エリックの音に溶け込むよう計算されたこのデジタルディレイが、クリーンでもリードでも陰ながらトーンを支えているのです。

Eric Johnson|愛用機材【その他】

弦:GHS

機材解説

エリックは長年GHS社製のギター弦を愛用しています。
キャリア初期にはGHS Nickel Rockersというニッケル巻き弦を使用しており、ゲージは.010、.013、.017、.026、.036、.046という一般的なライトゲージでした。
Nickel Rockers弦は巻弦(4~6弦)に純ニッケルを使用し、さらにローラー圧延によって半平坦(ハーフフラット)に仕上げられているのが特徴です。
純ニッケルによる素材は音色をヴィンテージライクに暖かくし、半フラット加工により手触りが滑らかで落ち着いたトーンになるメリットがあります。
エリックが奏でるクリーンでまろやかな音には、こうした弦材質による貢献も大きいと考えられます。

その後エリックは、自身のニーズに合わせてわずかにゲージを変更したシグネチャー弦をGHSからリリースしました。
このGHS Eric Johnson Signature Stringsでは、3弦(G)、5弦(A)、6弦(E)のゲージが一段太くなっており、セット全体では.010、.013、.018、.026、.038、.050という構成になっています。
太めの3弦はプレーン弦の張りを増して音程感を安定させ、5・6弦の太さアップは低音により腰と厚みを与える狙いがあります。
一方で、このシグネチャー弦では素材が純ニッケルではなくニッケルメッキ鋼(ニッケルプレーテッド)に変更されており、若干ブライトなトーンになるよう調整されています。
エリックは曲やコンディションによってNickel RockersとSignature弦を使い分けていますが、いずれも「暖かさ」と「反応の良さ」を兼ね備えた弦として彼のトーン形成に寄与しています。

ピック:Jim Dunlop Jazz III

機材解説

ピック選びにもエリックのこだわりが光ります。
彼が長らく愛用しているのはJim Dunlop社のJazz IIIという小型のティアドロップ型ピックで、特に自身の要望を反映したEric Johnsonシグネチャーモデルを使用しています。
Jazz IIIは厚さ約1.38mmの硬質なナイロン製ピックで、先端が尖っており、速弾きや細かなピッキングニュアンスを表現するのに適しています。
エリックはこの小さなピックを使い、驚異的な速度のオルタネイトピッキングやスキッピングフレーズを難なくこなしています。

エリックのシグネチャーJazz III(赤色)には「ERIC JOHNSON TX」の刻印があり、表面のグリップ感にも工夫がされています。
彼自身、「小さく硬いピックだが、慣れればカッティングも自在にコントロールできる」と述べており、右手のテクニック向上にも一役買っているといいます。
このピックを使うことで、速いパッセージでも弦に引っかかりにくく、粒立ちの良いピッキング音が得られるため、エリックの緻密なフレージングが可能になっているのです。

興味深いことに、エリックはピックによる音色変化にも敏感で、時には曲調に合わせてピックを持ち替えることもあります。
たとえばより柔らかいアタックが欲しいクリーンパートではティアドロップ型より少し大きめのフェンダーHeavyピックを使ったり、スタジオ録音では指弾きやサムピックを活用する場合もあります。
しかしライブにおいてはほとんどJazz III一本で通しており、「小さいピックで大きな表現力」を発揮する彼のプレイスタイルの象徴となっています。

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