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【まとめ】Joe Bonamassa/ジョー・ボナマッサの使用機材【アンプ・ギター・エフェクター】

国内外で活躍するギタリストの愛用機材をまとめて取り上げる「プレイヤーズ・リグ」
ブルース・ロックを聴くとき、皆さんはどの瞬間に胸を打たれますか。枯れたトーン、圧倒的な歌心、そしてギターという楽器が宿す“深い余韻”——そのすべてを現代にアップデートし、ワールドツアーの巨大なステージからYouTubeのベッドルーム・セッションまで、あらゆる場で「これぞブルース」と唸らせてきたギタリスト
Joe Bonamassa
彼はヴィンテージ・ギターを500本以上、アンプを500台以上所有する“機材狂”としても知られていますが、それらを単なるコレクションとして眺めているわけではありません。ツアー先にも惜しげもなく持ち込み、観客の耳に直接「本物の鳴り」を届けてきました。そこまでして追い求めるのは、“心が震える一音”を生み出すための究極のツールであり続けること——まさに音の錬金術師と呼ぶにふさわしいプレイヤーです。
本記事では、そんなジョー・ボナマッサの生い立ちから現在に至るまでの経歴、そして膨大なコレクションの中でもライブやレコーディングで実際に活躍している機材を網羅的にご紹介します。
Joe Bonamassa|Profil


生年月日:1977年5月8日
出身:アメリカ・ニューヨーク州ユーティカ
Biography:破格の才能と“機材愛”が切り拓いたブルース新章
幼少期〜ギターとの出会い
ジョー・ボナマッサは1977年5月8日、ニューヨーク州ユーティカ近郊で生まれました。両親は楽器店を経営しており、家には常にギブソンやフェンダーのギターが並んでいました。ジョー少年は3歳で玩具のギターを弾き始め、4歳には本物のストラトキャスターで簡単なコードを覚えたと言われています。10歳になる頃には“テレキャスターの魔術師”ダニー・ガットンから直接レッスンを受け、着々と腕を磨いていきました。
“神童”誕生──B.B.キングの前座ツアー
12歳のジョーに大きなチャンスが訪れます。ブルース界の巨人B.B.キングの目に留まり、全米20都市を回る前座に抜擢されたのです。子どもとは思えない表現力でヴィンテージ・レスポールを操る姿は観客を驚かせ、“ブルースの神童”として一躍注目の的になりました。
ソロ・デビューとチャート制覇
2000年、トム・ダウド(エリック・クラプトンやオールマン・ブラザーズを手掛けた名匠)をプロデューサーに迎え、アルバム『A New Day Yesterday』でソロ・デビューを果たします。その後も年間200本を超えるライブを精力的にこなしながら作品を発表し、2006年作『You & Me』で初めて全米ブルース・チャート1位を獲得します。以降、10枚以上のアルバムが同チャートを制覇し、“現代ブルースの顔”という評価を不動のものにしました。
エリック・クラプトンとの共演とスーパーグループ
2011年、ロイヤル・アルバート・ホールでエリック・クラプトンと歴史的共演を果たし、世代を超えたブルース・ギターの継承者として世界にその名を刻みました。さらに2012年にはグレン・ヒューズらとスーパーグループブラック・カントリー・コミュニオンを結成し、ハードロックのフィールドでも存在感を発揮します。
“機材コレクター”から“サウンド・キュレーター”へ
ボナマッサの機材収集は単なる趣味ではなく、理想のトーンを追求するための“研究”です。1959年製レスポール“Skinnerburst”をはじめとしたヴィンテージ・ギター約500本と、DumbleやMarshallなどのアンプ約500台を所有。その豊富な機材をツアーにも持ち出し、観客に“本物の音”を届けることを信条としています。近年は自身のシグネチャー機材やピックアップ開発にも関わり、まさにブルース・トーンの“キュレーター”として後進のプレイヤーにも影響を与えています。
新時代のブルースへ
2020年代に入っても進化は止まりません。ロイヤル・オーケストラを招いた『Royal Tea』や、ブリティッシュ・ロックを再解釈した『Time Clocks』など、伝統と革新を融合した作品をリリース。さらに自身のレーベル〈Keeping the Blues Alive Records〉を通じ、若手ブルースマンの発掘・支援にも力を注いでいます。ジョー・ボナマッサはこれからも、膨大な機材と類いまれな演奏力でブルースを次なる高みへと導いてくれることでしょう。
Joe Bonamassa|Play&Music
「Further On Up the Road」 Live at Royal Albert Hall 2009 feat. Eric Clapton
2009年ロイヤル・アルバート・ホールで行われた歴史的ライブ。
“師”エリック・クラプトンをゲストに招き、少年時代からの憧れの舞台で肩を並べた瞬間は、ボナマッサが“現代ブルースの正統後継者”へ飛躍した象徴です。
オーケストラを用いずギター2本とバンドだけで世界有数の名ホールを震わせる気迫、万雷のスタンディング ovation──ファンなら何度でも見返したくなる決定的映像。
「The Heart That Never Waits」Tales of Time Live at Red Rocks 2022
2022年レッドロックス野外劇場で収録された“Tales of Time”。
コロラドの星空と赤い岩壁が天然リバーブとなり、壮大なライトショーも相まって“ギター・オペラ”のような臨場感を実現。パンデミックで延期続きだったツアーを遂に再開し、最新作『Time Clocks』をアルバム順に完全再現した一夜は、ボナマッサの現在地を示す決定的ドキュメントとしてファン必見。
「Song of Yesterday」Live at Carnegie Hall 2016(Acoustic Evening)
2016年ニューヨーク・カーネギーホールで開催された全編アコースティック公演。
“ニューヨーカーの少年ジョー”にとって聖地での2夜は長年の夢の結実であり、ティナ・グオら多国籍編成による室内楽的アレンジが普段の轟音ブルースを一変させます。壮麗なホール音響と繊細なストリングスに包まれた希少なステージは、ボナマッサの多彩さと音楽的成長を実感できる映像です。
Joe Bonamassa|愛用機材【ギター】
Gibson / Les Paul Standard ’59 “Skinnerburst”


機材解説
ボナマッサと言えばギブソン・レスポールです。中でも彼のコレクションの目玉が、1959年製のレスポール・スタンダード、通称「スキナーバースト」です。2006年に行われたオークション(Skinner社)で彼が落札した個体で、当時約29万2千ドルという高額で落札されました 。このギターはシリアルナンバー9-1951を持ち、彼が敬愛する“59年製レスポール”の中でも特にお気に入りの一本となっています。ギブソンは2014年にボナマッサ所有のこのレスポールを忠実に再現したシグネチャー・モデル「Skinnerburst 1959 Les Paul」を100本限定で製作し、発売と同時に完売する人気となりました 。ボナマッサ自身「スキナーバーストは自分のお気に入りのギターの一つ」であり、複数所有する’59レスポールの中でも特別な存在だと語っています 。太く甘いハムバッカーの音色と、ビンテージならではの枯れたトーンは彼のブルース・ロックサウンドの核となっており、ライブでも頻繁に使用されています。
Gibson / ES-335 (1962年製レッドフィニッシュ)


機材解説
ギブソンES-335もボナマッサの重要な相棒です。彼が19歳だった1996年、赤いフィニッシュの1962年製ES-335を購入し、デビューアルバム『A New Day Yesterday』(2000年)の録音で使用しました 。セミアコースティック構造によるウォームなトーンと粘り強いサスティーンは、ブルースやジャズに通じる深みを彼のプレイにもたらしました。しかし、その後2001年にニューヨークからロサンゼルスへ拠点を移す際の資金捻出のため、泣く泣くこのES-335を手放しています 。ところがデビュー20周年を迎える頃、奇跡的にそのギターが彼の元に戻ってきました 。持ち主から連絡があり買い戻すことができたのです。ボナマッサは再会した運命のES-335を終生手元に置くことを誓い 、そのエモーショナルな音色は以降のライブでも披露されています。近年エピフォンから発売されたジョー・ボナマッサ仕様の1962 ES-335シグネチャーモデルは、この愛器を再現したものです。
Epiphoneのシグネイチャーモデル


Fender / Stratocaster (1950年代モデル)


機材解説
ボナマッサはフェンダー・ストラトキャスターも曲ごとに使い分けます。レスポールとは対照的なシングルコイル・ピックアップの鋭いトーンは、楽曲に多彩な表情を与えるために欠かせません。彼は複数の50年代製ストラトを所有しており、そのうちの一本は1955年製ストラトキャスターで愛称を「Bonnie(ボニー)」といいます。アメリカの女性シンガー、ボニー・ブラムレットの名前がボディに刻まれたこのストラトは、友人でもある彼女への敬意を込めて名付けられました 。また別の1955年製のブラック・ストラトキャスターは、まだ11歳だった少年時代のジョーがポスターで憧れていたギターそのものを、後年になって本人が手に入れたものです 。彼は毎年ナッシュビルのライマン公会堂でこの黒い’55ストラトを演奏するのを恒例としており、少年の頃に夢見たギターをいま自分が弾いていることに特別な思い入れがあると語っています 。ストラトキャスターは主にチューニングを半音下げやDに落とした曲で使用され、太めの弦と相まって図太いサウンドを響かせます 。
Fender / Telecaster Thinline (1968年製, B-Bender搭載)


機材解説
ボナマッサのコレクションにはフェンダー・テレキャスターも含まれています。特にライブで最近登場するのが1968年製テレキャスター・シンラインにB-Bender(ビー・ベンダー)機構を搭載したモデルです 。B-Benderとは、ストラップピンに連動してギターを傾けると2弦(B音)を半音階的に引き上げる装置で、主にカントリー音楽でスティールギターのような独特の音程変化を生み出すために使われます。ボナマッサのテレキャスターにはこの改造機構が組み込まれており、彼はこれを駆使して楽曲にカントリー風フレーズや滑らかな音程移行を加えているのです 。また、この個体にはセイモア・ダンカン社製の特別なピックアップセット(“The Bludgeon”という名のモデル)が搭載されており、彼が所有する1951年製ノーカスターの音色を再現するために開発されたものです 。ボナマッサは「このテレキャスターは常にボリュームを絞り気味にしてクリーン~クランチの美味しいポイントを探りながら使う」と語っており、艶やかなクリーントーンから唸るようなオーバードライブまで自在に操っています。なお彼のエレクトリックギターの多くはアーニーボール社の011~052ゲージという極めて太い弦でストリングされており 、テレキャスターも例外ではありません。そのため強靭なピッキングにも耐えうる張りのあるサウンドとチューニングの安定性を得ています。
Gibson / Flying V (1958年 “Amos”)


機材解説
ボナマッサの所有ギターの中でもひときわ異彩を放つのが、1958年製ギブソン・フライングV、通称「アモス (Amos)」です。彼は幼い頃からアルバート・キングやロニー・モントローズといったフライングV使いのギタリストに憧れており、自身もヴィンテージの’58 Vを入手しました。このギターは元々アメリカの楽器店主アモスさんが所有していたことから、その名が付けられています。ボナマッサはこの貴重なオリジナルVをライブに持ち出すこともありますが、ツアーの過酷さから守るためGibsonカスタムショップ製の精巧なレプリカも使用しています 。2017年にはエピフォンから「Amos」フライングVのシグネチャー・モデルも限定発売され、ファンの間で話題になりました 。フライングVは彼が敬愛するフレディ・キングやアルバート・キングへのオマージュとして、ブルースのセットでとりわけ多用されます。尖ったルックスから放たれる図太いミッドレンジのサウンドはバッキングで厚みを出すだけでなく、リードプレイでは切れ味鋭いサスティーンを提供します。ボナマッサはこのギターをオープンGチューニングにしてスライドプレイにも用いており 、クラシックなブルースナンバーにおいて観客を沸かせています。
Joe Bonamassa|愛用機材【アンプ】
この他にも、ボナマッサは過去にTwo-RockやCarol-Ann、Buddaなどのブティックアンプ、Category 5社と共同開発したJB-100アンプなど多彩な機種を試してきましたが、近年は以下のダンブル、フェンダー、マーシャルの組み合わせが主軸となっています。
Dumble / Overdrive Special


機材解説
ボナマッサのアンプ群の中でも特に貴重なのが、ダンブル・オーバードライブ・スペシャル (Dumble Overdrive Special)です。ダンブルは米国の故アレクサンダー・ダンブル氏がハンドメイドで製作した伝説的アンプで、世界で数百台程度しか存在しません。ボナマッサは複数のダンブルを所有しており、例えば1979年製オーバードライブ・スペシャルのヘッドアンプや2006年製オーバードライブ・スペシャルのコンボをステージ投入しています 。これらはいずれもクリーミーで滑らかなオーバードライブサウンドが特徴で、ボナマッサのリードトーンを支える要となっています。彼はダンブルと2発キャビネット(セレッション製JB-85スピーカー搭載)を組み合わせ、中音域が前に出た太い音を得ています 。ダンブルは非常に高価かつ入手困難ですが、その濃密なサウンドはボナマッサにとって代えがたいもののようです。「どのギターを使ってもダンブルに繋げば自分の音になる」と語るほど信頼を置いており、ソロの見せ場では必ずと言っていいほどダンブルの火の出るようなドライブサウンドが響き渡ります。
Fender / Twin Reverb (シグネチャー・ツインアンプ)


機材解説
ボナマッサの足元にはフェンダー・ツインリバーブ系統のアンプも欠かせません。彼はフェンダーのツインリバーブを改造したシグネチャー・モデルを使用しており、ヴィンテージ風のツイード張りの筐体をあえて黒いトーレックスで覆った特別仕様の2台のツインアンプをステレオで駆動しています 。フェンダー・ツインリバーブは85W×2の強力なクリーンアンプで、ボナマッサはこれをクリーントーンの基盤として用います。ツインアンプの澄んだクリーンサウンドを高音量で鳴らし、その上にペダルで歪みを加えることで、分離感と厚みを両立させているのです。また彼のツインは高出力スピーカーJB-85を搭載しており、ヘッドルームが非常に広くクリーンのままでも音圧があります 。これによりペダルでブーストしても音が潰れず、芯のあるドライブトーンが得られます。ボナマッサは「ツインのクリーンはキャンバスのようなもの」と表現し、その上に他のアンプの色付けを重ねてマーブル模様のようなトーンを作り出すといいます。まさに複数アンプのブレンドによる妙技で、フェンダーの輝くようなクリーンと他のアンプの歪み成分がミックスされた豊潤な音が彼のライブを支えています。
Marshall / Silver Jubilee 2555


機材解説
ボナマッサのサウンドにロックの迫力を与えているのがマーシャル・シルバージュビリー2555(100W)ヘッドです。シルバージュビリーは1987年にマーシャル社創業25周年を記念して限定生産されたモデルで、往年のジミー・ペイジやスラッシュらも愛用した名機として知られます。ボナマッサはこのシルバージュビリーをなんと4台所有しており、ライブではステージ裏にそのヘッドをずらりと並べています 。実際に同時に鳴らすのはその中から2台ですが、それでも100W×2のマーシャルサウンドは強烈です 。彼はシルバージュビリーを主にリズムギターの歪み役として使っており、ギブソン系ギターとの組み合わせで図太いブリティッシュクランチトーンを生み出します。マーシャル特有の中低域の押し出しと、高域のエッジが、フェンダーやダンブルでは得られない攻撃的なキャラクターを加えるのです。さらにボナマッサはオランダ製のVan Weelden(ヴァン・ウィールデン)製4×12キャビネットを使用し、内部を2発×2のステレオ仕様にしてマーシャルヘッドからの出力を受けています 。このキャビにはEV製のEVM12Lスピーカーが組まれており、クリアかつパンチのあるレスポンスでマーシャルのパワーを余すところなく響かせます 。彼はマーシャルの音について「荒々しい中にも上品さがある」と評価しており、ブルースとロックのクロスオーバー的プレイでしばしばシルバージュビリーの轟音を鳴らしています。
Joe Bonamassa|愛用機材【エフェクター】
ボナマッサは「ペダルは料理のスパイスのようなもの」と語るように、必要に応じてエフェクターを活用しています。ただし過度に音を加工することは好まず、基本的にはアンプ直の生々しい音色を尊重しつつ、要所でペダルを踏んでトーンの幅を広げるスタイルです。
彼のペダルボードは非常に整理されており、シグナルループボックスで必要なエフェクトだけをオンにできるよう工夫されています 。ここでは代表的なエフェクターとその使われ方を紹介します。
Dunlop / Cry Baby Wah (JB95 Signature)


機材解説
ワウペダルはボナマッサ・サウンドの隠し味で、彼はジムダンロップ社のJB95 ジョー・ボナマッサ・シグネチャーCry Babyを使用しています 。このペダルは内部にヴィンテージ様式の“ハロ・インダクター”を搭載し、クラシックなクライベイビーよりも倍音成分が豊かでウォームなワウトーンが特徴です 。ボナマッサは曲中のソロの盛り上がりなどでワウを踏み、泣き叫ぶようなトーンを生み出します。ペダルの外観は彼の要望で上面が銅色、ボディが艶ありブラックに仕上げられており、高級感のあるルックスも魅力です 。なお、最近のボナマッサのボードではこのワウを特注色のペルハムブルーにリフィニッシュしたものが使われており 、見た目にもこだわりが伺えます。彼はワウを常にオンオフできるようボードの端に配置し、曲によっては微妙に踏み込んだ状態で音色を調整する“ハーフワウ”テクニックも駆使しています。


Dunlop / Fuzz Face (Joe Bonamassa Signature JBF3)


機材解説
ボナマッサはジムダンロップ社から自身のシグネチャー・ファズフェイスもリリースしています。それがJBF3 Joe Bonamassa Fuzz Faceで、クラシックな円盤型ファズに彼の求める改良を加えたモデルです。ゲルマニウム・トランジスタを使用しつつも温度変化に強い設計がなされ、また出力レベルが高められているため、アンプをしっかりプッシュできる仕様になっています。ボナマッサは主にレスポール+マーシャルの組み合わせ時にこのファズフェイスをオンにし、サステイン無限大の太いリードトーンを繰り出します。例えば楽曲「Just Got Paid」のソロでは、このファズを踏んでスライドギターのような強烈なサウンドを演出しています。ペダルの外観はクラシカルな銅色ケース(Copper Edition)で、彼のヴィンテージ嗜好が反映された渋いデザインです。さらに近年は小型化した**Fuzz Face Mini(FFM4 Bonamassaモデル)**も使用し、ボードの省スペース化を図っています 。彼は「ファズフェイスは扱いが難しいが、ハマると他には替えが利かない」と述べており、まさにブルースロックの轟音には欠かせない秘密兵器と言えます。
Fuzz Face Mini(FFM4 Bonamassaモデル)


Way Huge / Overrated Special (Overdrive)


機材解説
オーバードライブ系で注目すべきは、ウェイヒュージ社と共同開発した限定ペダルOverrated Specialです。これはボナマッサのリクエストに基づき、同社の人気オーバードライブ「Pork Loin(ポークロイン)」をモディファイしたモデルで、彼のライブ機材で不足している帯域をブーストできるよう調整されています。具体的には中低域にパンチを与えつつも高域はまろやかに抑える特性で、レスポールをマーシャルに繋いだ時に欲しい「もうひと押し」の厚みを加えることができます。ボナマッサはこのペダルを常時オンに近い形で使用することも多く、クランチ状態のアンプに重ねてより粘りのある歪みにしています 。モデル名の「Overrated Special(オーバーレイテッド・スペシャル)」は彼のユーモアが込められており、「過大評価されてるくらいがちょうどいい特別なペダル」という意味合いです。限定生産ゆえ現在入手困難ですが、ファンの間では「ボナマッサのあの音に近づけるペダル」として評判になりました。彼自身も「このペダルがあればTS系とクリーンブースト両方の役割を果たす」と絶賛しており、ライブの屋台骨を支える一台となっています 。


Ibanez / Tube Screamer TS808


機材解説
ボナマッサは王道のアイバニーズ・チューブスクリーマーも使用します。特にヴィンテージのTS808がお気に入りで、アンプをプッシュしてミッドレンジに甘い歪みを加える用途で使われます 。ブルースロック・ギタリストの定番ペダルであるTS808ですが、ボナマッサの場合は使い方に特徴があります。ゲインノブは低めに、レベルノブを高めに設定して「ブースター」的に運用するのです。こうすることでTS808固有のミッドハンプ(中音域持ち上げ)効果を活かしつつ、アンプ側で作った歪みにさらに厚みと粘りを足すことができます。彼は主にフェンダー系アンプ+ストラトキャスターの組み合わせでTS808をオンにし、シングルコイルの音を痩せさせず存在感を出すために用いています。またソロパートでも音抜けが欲しい際に踏み込んでおり、観客にはわからない程度の微妙な設定ながら、実は綿密にサウンドメイクされています。ちなみに曲によってはTS808ではなくTS9など別バージョンのチューブスクリーマーを試すこともあるようですが、基本的な役割は同じで、中域の粘りが彼のトーンを支えている点に変わりありません 。


MXR / FET Driver (CSP265 Joe Bonamassa FET Driver)


機材解説
MXR FETドライバーはボナマッサがMXRカスタムショップと開発したシグネチャー・オーバードライブです 。真空管アンプのような自然な歪みを得るためにFETトランジスタを用いた回路で、ゲインとレベルに加え2バンドEQとハイカットスイッチを搭載しているのが特徴です 。ボナマッサはこのペダルについて「真空管アンプを本当にクランクアップした時のようなサウンドになる」とコメントしており、クリーンアンプに繋いでも暖かく倍音豊かなドライブが得られるようチューニングされています 。彼は一時期、このFETドライバーをペダルボードのメイン歪みとして使用していました。例えばマーシャルなど歪みチャンネルを持たないアンプではクランチの土台作りにFETドライバーを常時ONにし、さらに必要に応じて先述のTS808やオーバーレイテッドスペシャルでブーストするといった凝った使い方もしていました。現在ボードに載せているかは時期によりますが、レコーディングでは今でも活躍しており、シングルコイル搭載ギターでも太く滑らかなリードトーンが欲しい時に重宝しているようです 。MXRらしい頑丈な造りと扱いやすさもあり、ボナマッサ・ファンならずとも評価の高いペダルです。


Fulltone / Supa-Trem (Tremolo)


機材解説
ボナマッサはギターソロの背後でうねるような揺らぎを加えるため、フルトーン社のSupa-Tremトレモロペダルを使用します 。このペダルはアナログ回路によるオプティカル・トレモロで、ヴィンテージのフェンダーアンプ内蔵トレモロのような有機的で滑らかな変調が特徴です。ボナマッサはこのトレモロを非常に控えめな深さに設定し、ほとんど聞こえるか聞こえないかという程度に常時かけっぱなしにすることがあります 。そうすることでクリーントーンにごくわずかな脈動感を与え、音に奥行きを持たせているのです。特にバラード調の曲や、中テンポのブルース曲でクリーンサウンドをプレイする際にSupa-Tremが活躍します。彼のテクニシャン曰く「ジョーはボリュームを絞った時にも音が痩せないようSupa-Tremをオンにしっぱなしにしていることがある」とのことで、アンプのレスポンスを整える秘密兵器にもなっているようです。もちろん曲によっては深いトレモロ効果をかけ、スローブルースでアンプのトレモロ以上に深くスイングさせる演出も行います。フルトーンSupa-Tremは操作もシンプルで信頼性が高く、ボナマッサの足元でも長年愛用されています 。


BOSS / Digital Delay (DD-2/DD-3)


機材解説
ディレイ・エフェクトについては、シンプルなBOSSのデジタルディレイを使用するのがボナマッサ流です。具体的には古いモデルのDD-2や定番のDD-3を好んでおり、その理由は「音質が過度にハイファイすぎず、扱いやすいから」と語っています。彼はディレイをソロの最後尾にうっすらとかけて音に残響と厚みを加える程度で、いわゆる派手な多重ディレイは使いません。設定はワンリピート(1回だけ残響音が返ってくる)かつディレイタイムも400ms前後のショート~ミディアムディレイに留め、アナログ風にトーンを絞った音でさりげなく掛けます。これにより速いフレーズでも音像がぼやけず、しかし無音の空間を埋めてソロを引き立てる役割を果たします。ボナマッサのボードには現在BOSS DD-2が組み込まれており 、これはBOSS初期のデジタルディレイであると同時に名機DD-3の原型となったモデルです。彼は長らくDD-3を使ってきましたが、「旧DD-2の方が若干マイルドなフィーリングがある」として近年はこちらを愛用しています 。いずれにせよ過度な自己主張をしないディレイサウンドを選ぶあたり、ボナマッサの音楽性と職人的美学が感じられます。


Electro-Harmonix / Micro POG (Octaver)


機材解説
曲によってはオクターブ効果も活用します。その際に使われるのがElectro-Harmonix Micro POGです 。POG(Polyphonic Octave Generator)は原音に対し1オクターブ上や下の音を重ねるペダルで、オルガンライクな厚みあるサウンドを作れるのが特徴です。ボナマッサは主にギターソロでこのMicro POGを踏み、音に重厚感を加えることがあります。例えば低音弦でリフを弾きつつ高音側にオクターブアップをブレンドし、まるで12弦ギターのような広がりを演出するといった使い方です。Micro POGはポリフォニック対応で和音もきれいにオクターブ処理できるため、ボナマッサの高速フレーズでも違和感なく効果を付与できます。特にパワートリオ編成で演奏する際、ギター一台で音域を埋める目的でPOGを使うことがあるようです。ボナマッサのボードには以前は大きなサイズのPOGが載っていましたが、現在は省スペースなMicro POGに置き換えられています 。このペダルはトラッキング性能も優秀で彼のお眼鏡にかなった数少ないピッチ系エフェクトといえます。使用頻度こそ高くありませんが、「ここぞ」という場面でギターサウンドに極太の支柱を通す、縁の下の力持ち的エフェクターです。


Hughes & Kettner / Rotosphere


機材解説
- 真空管ドライブ回路とロータリースピーカー・シミュレーション(ローター&ドラム独立スピード)が得意。
- FAST/SLOW/STOP の3モードをフットスイッチで瞬時に切替え、回転加速・減速もリアルに再現。
- ドライブ・コントロールでB3オルガン特有のコンプレッション感を追加可能。
- ステレオ出力とリレー式トゥルーバイパスを装備、アンプのインプットにもラインにも対応。
ジョー・ボナマッサはクリーン〜クランチ時にこのRotosphereを常時ON気味にセットし、コードにうっすら揺らぐロータリーを足して「オルガンが重なったような厚み」を演出します。スロー設定でリードトーンに空気感を与え、ソロ直前にFASTへ蹴って加速する使い方が定番。ライブではステレオ出力をツインリグの左右アンプへ振り分け、立体的に渦を巻くコーラス代わりとして活用しています。
Whirlwind / Orange Box


機材解説
- 伝説的MXR Phase 90を再現した4ステージ・フェイザー。
- Handwired in USA、高耐久ポット&トゥルーバイパス仕様。
- シンプルにRATEノブ一本で“うねり”を操作、ギターVol変化にも追従。
- ローノイズ設計でハイゲインでもヒスを最小限に抑制。
ボナマッサはこのフェイザーを**ソロ直前の“ひと味足し”**としてセット。RATEは9〜10時、薄めに掛けることでコードが軽く揺れ、リードで踏むと倍音が立体的に浮き上がります。MXR Phase 90よりもノイズに強く、ヴィンテージ感を保ちながら現場で扱いやすい点を高く評価しています。


MXR / Micro Flanger (M-152)


機材解説
- 80年代名機M-117に基づく小型フランジャー。
- SPEED/REGENの2ノブでジェット具合と揺れ幅を即調整。
- トゥルーバイパス化&電源9Vセンターマイナス対応で現代ボードに最適。
- 内部トリムで出力レベル微調整可。
ボナマッサは**「Unchained」ばりのスウィープ効果**を狙う際にMicro Flangerをオン。SPEEDは12時前後、REGENは1時付近で「ブォン」と持ち上がるジェット感を作り、リフのアクセントとして使用します。Rotosphereやフェイザーと重ねず単独で踏むことで、80sロック的な攻撃的モジュレーションを狙っているのがポイントです。


Voodoo Lab / Pedal Power 2 Plus


機材解説
- 8系統アイソレート出力(9/12V可変×6、SAG機能×2)を備える定番電源。
- 各アウトは完全独立トランス巻き線でグラウンドループ&ハムノイズを遮断。
- SAGツマミで電圧を4〜9Vに可変し、Fuzz Faceや古いワウをヴィンテージ電池駆動風に。
- 110〜240Vワールドワイド入力対応、ツアー移動でも変圧器不要。
膨大なペダルを搭載するボナマッサのボードでも、電源ノイズ対策は最重要。Pedal Power 2 Plusのアイソレート出力で各ペダルを個別供給し、真空管アンプをハイゲインまでプッシュしてもノイズを最小限に抑えています。SAG機能はファズフェイス(JBF3)を“電池残量3割”の柔らかいニュアンスに調整する際に活用。安定供給とトーンチューニングの両立を実現する裏方の立役者です。


Lehle /スイッチャー(Little Lehle II & D.Loop SGoS)




機材解説
- Little Lehle II:トゥルーバイパスAB/Yルーパー。ハイインピーダンス入力&Gold-Ptリレーで音質劣化ゼロ。
- D.Loop SGoS:2ループ+バッファ&ブースト搭載。MIDI経由で複数スイッチャーを同期制御可。
- リレーベースのスイッチングでクリックノイズ皆無、ハイエンド信号経路を保持。
- LEDsとソフトリレーでプレセット切替も静音&高速。
ボナマッサはLittle Lehle IIでアンプ3台のサウンドをミックス/切替し、D.Loopでファズやオーバードライブをループ管理。これにより1踏みでクリーン+ダンブル+マーシャルなど複雑な組み合わせを瞬時に呼び出すシステムを構築しています。MIDI同期によってPedal Power SGoS同士を連結し、ステージ左右に置いたペダルボードを完全連動させるなど、プロフェッショナルなルーティングを実現。信号経路の透明度を保ちつつ、ライブでの再現性とトラブル耐性を高めています。




Joe Bonamassa|愛用機材【その他】
Ernie Ball / Regular Slinky (.011-.052 弦)


機材解説
ボナマッサはアーニーボール (Ernie Ball)社のレギュラー・スリンキー弦(Nickel Wound)を愛用しています。注目すべきはそのゲージの太さで、彼はエレクトリックギターに通常よりヘヴィな**.011~.052のセットを張っています 。一般的なエレキ弦(.009や.010セット)より太いこのゲージを使う理由は、トーンと安定感を重視しているからです。太い弦はテンションが強くなる分、ピッキングに対してしっかり踏ん張り、サウンドにもコシと太さが出ます。ボナマッサの図太い音色や激しいピッキングにも音が痩せない芯のあるトーンは、このヘヴィゲージ弦に負うところが大きいのです。またチューニングを半音下げる曲でもテンション不足にならず、安定したピッチを保てる利点もあります。彼は一部のギターでDean Markley製の11-52セットを使用したこともありましたが 、近年はエルニーボールに統一しているようです。なお、アコースティックギターにはDean Markley Alchemy**シリーズのゴールドブロンズ弦をライトゲージで使用しています 。いずれにせよ、エレキで.011という太い弦を難なく押さえ込むフィンガーパワーはさすがプロ中のプロ。太い弦によって得られるリッチな倍音とサステインが、ボナマッササウンドの土台を支えています。


Dunlop / Jazz III ピック (カスタム・モデル)


機材解説
ピックについて、ボナマッサはJim Dunlop社のJazz IIIを愛用しています 。Jazz IIIは先端が尖った小型のティアドロップ型ピックで、速弾きや正確なピッキングに適していると多くのギタリストに支持されているモデルです。ボナマッサはこのJazz IIIをベースにしたカスタムピックを使用しており、自身の名前ロゴが入った特注仕様となっています 。素材はウルテム系の堅めのものを選んでおり、厚みも標準的なJazz IIIと同程度です。彼の高速フレーズやスウィープ奏法でも音がぼやけない明瞭さは、このピック形状と材質によるところが大きいです。Jazz IIIは音の立ち上がりが鋭く、細かいニュアンスを表現しやすい反面、慣れないとコントロールが難しいとも言われます。しかしボナマッサは幼少期からこのタイプのピックに慣れ親しんできたため、自在に扱いこなしています。ライブでは常に数枚の予備をアンプ上などに用意し、曲間で新品に持ち替えることもあります。また滑り止めとしてピックに穴を開けたり、表面にロゼッタ加工を施すなどの工夫も見られます。ピックは小さなアイテムですが、ボナマッサにとってはトーンとフィーリングを左右する重要な要素であり、長年Jazz III一筋を貫いている点からもそのこだわりが伺えます。


KLOTZ / シグネチャー・ギターケーブル


機材解説
音作りにおいてギターケーブルも見逃せません。ボナマッサはドイツ製高級ケーブルブランド**KLOTZ(クロッツ)**のケーブルを使用しており、自身のシグネチャーモデルも発売しています 。ケーブルは音質に微妙な差を生むパーツですが、彼は特に耐久性と信号劣化の少なさを重視して選定しています。Klotzのケーブルはノイズに強くクリアな音質が特徴で、ステージ上での取り回しも良い柔軟性を備えています。ボナマッサモデルのケーブルは内部構造がさらに最適化されており、ギターの微細なニュアンスも余すところなくアンプに伝達できるよう設計されています。彼はステージ上で比較的長いケーブルを使うこともありますが、それでも音痩せしにくい点に満足しているようです。またKlotzケーブルのプラグ部分には彼のトレードマークである「JB」の刻印が施され、高級感と所有欲をそそる仕上がりです。ボナマッサはワイヤレスを使わず有線ケーブルにこだわる理由について、「ケーブルを変えるだけでトーンが変わる。自分にとって最良のケーブルを使うこともサウンドメイクの一部だ」と語っています。ステージ上の足元を見ると、彼のケーブルには常に丁寧に布テープが巻かれ、断線防止の配慮がされているのも印象的です。そのような細部への気配りこそ、ボナマッサが一流たる所以と言えるでしょう。
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