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【まとめ】Nick Johnston/ニック・ジョンストンの使用機材【アンプ・ギター・エフェクター】

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国内外で活躍するギタリストの愛用機材をまとめて取り上げる「プレイヤーズ・リグ」

カナダ出身のインストゥルメンタル系ギタリストでありながら、テクニック一辺倒ではなく、あくまで“メロディ”に重きを置く

Nick Johnston/ニック・ジョンストン

サトリアーニやジェフ・ベックに通じるメロディ重視の精神を持ちながら、独自の世界観とサウンドで多くのギタリストを魅了し続けています。

本記事では、そんなNick Johnstonの使用ギター・アンプ・エフェクター・アクセサリーを網羅的に解説。

  • 「あの歌うようなトーンはどんなギターから生まれるのか?」
  • 「彼がどんな機材を選び、どんな哲学で音を作っているのか?」

Nick Johnstonの音の秘密が解き明かされるだけでなく、あなた自身の機材選びにも確かなヒントが得られるはずです。

目次

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Nick Johnston/ニック・ジョンストン|Profil

生年月日:1987年6月18日
出身:カナダ オンタリオ州ロックウッド

Biography

Nick Johnstonの音楽人生は、独学から始まり、世界にその名を知られる“メロディアスな技巧派ギタリスト”として確立されるまで、常に「自分らしさの追求」を軸に歩まれてきました。

以下では彼のキャリアを、いくつかの節目ごとに深掘りして紹介します。

少年期 〜 ギターとの出会い

カナダ・オンタリオ州ロックウッドに生まれたNick Johnstonは、幼いころから音楽とともに育ちました。

本格的にギターを手にしたのは10代前半。周囲の友人たちが音楽を聴き流す中、ニックはブルースやロックのギタリストに魅了され、独学で演奏技術を磨き始めます。

彼が影響を受けたのは、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ジェフ・ベック、エディ・ヴァン・ヘイレン、そしてイングヴェイ・マルムスティーンといった伝説的なギタリストたち。

そのスタイルは一見異なりますが、共通するのは「個性」「音色へのこだわり」「メロディを語るように弾く」という姿勢。
ニックはそれらを無意識のうちに吸収し、「“テクニックのためのテクニック”ではなく、“音楽のための技術”」を重んじるプレイスタイルを築いていきます。

ソロ・アーティストとしてのスタート

2011年、ニックは自主制作アルバム『Public Display of Infection』をリリース。
これが彼のプロとしてのスタートとなります。

当時はまだインディペンデントでの活動ながら、その楽曲にはすでに“彼ならではのメロディ”と“構成美”が漂っていました。

続く『In a Locked Room on the Moon』(2013年)、『Atomic Mind』(2014年)では、テクニカルでありながらも“情緒あるインストゥルメンタル”というジャンルで頭角を現します。

この頃から、ギターキッズだけでなく作曲志向のリスナーや映像音楽ファンなど、幅広い層に認知され始めました。

国際的ギタリストとしての飛躍

2016年、4枚目のアルバム『Remarkably Human』を発表。
この作品にはマルコ・ミネマン(ドラム)、ブライアン・ベラー(ベース)など、世界的プレイヤーが参加しており、ニックの音楽が“世界標準”になったことを示しています。

2019年の『Wide Eyes in the Dark』では、よりコンセプチュアルかつ叙情的な世界観を展開。
インストゥルメンタルでありながら、まるで映画のストーリーを追っているような没入感をもたらす内容となりました。

この作品は「インストでここまでの物語性が描けるのか」と業界内外から高評価を受け、彼の評価を決定づけた一作です。

コラボレーションとシーンへの貢献

ニックはソロ活動の枠を超え、Polyphia、Intervals、Periphery、Plini、David Maxim Micicなど、現代プログレッシブ・ミュージックの重要人物たちと共演・ツアーを行っています。

いわゆる“シュレッド系”や“Djent”系ギタリストの中で、彼の存在は異彩を放っています。
それは、超絶技巧を見せびらかすのではなく、「ギターで物語を語る」ことに全力を注いでいるから。

「“弾ける”ことより、“響く”ことの方が大切だ」
そんなメッセージを音で伝える希有なギタリストです。

サウンドの探求と機材への哲学

2016年以降、Schecter(シェクター)とのエンドース契約を結び、自身のシグネイチャーモデルを開発。

高価なUSAカスタムモデルと、手頃な価格のトラディショナルシリーズという2ライン構成で、どのレベルのギタリストにも“ニック・サウンド”を提供しています。

また、Mesa/Boogie、Friedman、そして現在はOrange Ampsといったアンプブランドと関わりながら、「プレイヤーのタッチを損なわない機材」を求めて日々音作りを追求。

「自分の機材は“音を出すもの”ではなく、“感情を届けるための道具”だ」
という発言からも、彼の哲学が垣間見えます。

ギター界の語り部として

加えて、Nick Johnstonは“物語を紡ぐギタリスト”としても知られています。

彼は大のコミック好きであり、アルバムアートには著名なイラストレーターを起用するなど、音と視覚で世界観を構築するアーティスト。

また、ジョー・サトリアーニの影響を強く受けており、「インストでもメロディが語る物語がある」ということを、そのプレイで体現しています。

今や、ただのテクニカル・ギタリストではなく、**「現代ギターシーンのストーリーテラー」**として多くの人に影響を与える存在です。

Nick Johnston/ニック・ジョンストン|Play&Music

Nick Johnston – Remarkably Human | Live One Take Playthrough at Sheet Happens HQ

この映像は、NickがSheet Happensのスタジオで行ったワンテイクのライブパフォーマンスです。​彼の代表曲をメドレー形式で演奏しており、各楽曲の多彩な表情を一度に楽しむことができます。​特に、クリーントーンからディストーションサウンドへの移行や、複雑なリズムパターンの中での正確なピッキングが際立っています。​また、彼のシグネチャーモデルのギターサウンドも堪能できる点が魅力です。

Nick Johnston – Last Deals of Dead Man

このライブ映像では、Nick Johnstonが「Last Deals of Dead Man」を情熱的に演奏しています。​彼のダイナミックなピッキングと、感情豊かなベンディングが際立つパフォーマンスです。​特に、即興的なフレーズの挿入や、曲全体を通じた緩急のつけ方が見どころとなっています。

Nick Johnston – Guitar Clinic / Music City Prague 2022

このギタークリニックの映像では、Nick Johnstonが自身の楽曲を演奏しながら、音楽的アプローチやテクニックについて解説しています。​彼の演奏哲学や、楽曲制作における考え方を直接聞くことができる貴重な内容となっており、ギタリストにとって非常に参考になる映像です。

Nick Johnston/ニック・ジョンストン|愛用機材【ギター】

ニック・ジョンストンと言えばまずシングルコイル・ピックアップ搭載のストラトタイプのギターです。

クリアなクリーントーンから図太いオーバードライブまで表現するそのギターサウンドは、彼の音楽の核と言えるでしょう。

ここでは彼が使用する主なギターと、それぞれの特徴について紹介します。

Schecter / Nick Johnston シグネイチャー(Traditionals / USA)

機材解説

ニックのメインギターは、彼自身のシグネイチャーモデルであるSchecter Nick Johnston Traditionalシリーズです。

シェクターからリリースされたこのモデルは、同社では珍しいクラシカルなストラトキャスター系デザインを採用しており、22フレットのシンプルなストラトシェイプに独特なブラス製のドットポジションマークが配されています。

ネック材には硬質でコシのあるサウンドを生むウェンジ材を使用し、指板は滑らかなエボニー(黒檀)です。

ボディはアルダー材で、ヴィンテージスタイルのシンクロナイズド・トレモロブリッジを搭載しています。

ピックアップはニックのために調整されたSchecter Diamond Nick Johnstonシングルコイルが3基搭載されており、クリーンでは澄んだ輝きと豊かな倍音、歪ませれば太く粘りのあるリードトーンを生み出します。

ニック自身、このシグネイチャー・ギターについて「僕が使っているギターは、地元の楽器店で手に入るものと全く同じなんだ」と語っており、カスタムショップ製の高価なモデルだけでなく量産型のTraditionalsシリーズをライブやレコーディングで実際に使用しています。

2020年にはピックアップ配列がシングルコイル3つ(SSS)だけでなくハムバッカー+シングル2つ(HSS)のモデルも追加され、より多彩なサウンドに対応できるラインナップとなりました。

もっとも彼自身はシングルコイルのクリアな抜けを好んでおり、ライブでもシングルコイルならではの繊細な表現力を活かしたプレイを披露しています。

なお、彼のシグネイチャーモデルにはアーミング用のトレモロバーが付属していますが、ニックはこれを装着せずブリッジを指で押してビブラートをかける独特の奏法を見せることもあります。

このように細部まで本人のプレイスタイルに最適化されたシェクターのシグネイチャー・ギターこそ、ニック・ジョンストンのサウンドの礎と言えるでしょう。

Fender / Stratocaster

機材解説

シグネイチャーモデルを手にする以前、ニック・ジョンストンはフェンダー・ストラトキャスターを愛用していました。

ストラトキャスターはギブソンのレスポールと並んでエレキギターの代名詞とも言える存在で、シングルコイル特有の煌びやかなサウンドと多用途性を備えています。

ニックはストラトキャスターの持つレンジの広いクリーントーンと、ボリュームノブ操作による繊細な音色コントロールを駆使して、自身の楽曲にダイナミクスと表情を与えてきました。

彼のシグネイチャーモデルも根幹はこのストラトキャスターに由来しており、

「クラシックなストラトの良さを保ちながら、自分の求める演奏性とサウンドを追求した」と語っています。

そのため、フェンダーの伝統的なトーンとモダンなプレイアビリティを両立させたギターが欲しいというギタリストには、ニックのモデルもまさに打ってつけでしょう。

Martin / D-28 (Acoustic)

機材解説

ニック・ジョンストンはエレキだけでなく、アコースティックギターにもこだわりを見せています。

中でもMartin D-28は、彼がレコーディングやソングライティングで使用する代表的なアコースティック・ギターです。

Martin D-28はドレッドノートタイプと呼ばれる大型ボディで、低音から高音まで豊かな音域ときらびやかな響きを持つアコースティックの名器です。

ニックの楽曲にはクリーントーンの美しいアルペジオや繊細なクリーンパートが登場しますが、そうした場面でD-28は極上の響きを提供します。

例えばアルバム『Remarkably Human』や『Wide Eyes in the Dark』でも、随所にアコースティックギターの音色が織り交ぜられており、その温かく広がりのあるサウンドが楽曲に深みを与えています。

主要なステージではエレキ演奏が中心の彼ですが、自宅ではD-28を抱えて曲作りに没頭することも多いそうです。

電気的な歪みから離れて生音で奏でることで、新たなメロディやインスピレーションを得ているのかもしれません。

Nick Johnston/ニック・ジョンストン|愛用機材【アンプ】

ニック・ジョンストンのギターサウンドを語る上で、アンプの存在も欠かせません。

彼は楽曲やツアーの状況に合わせて様々なギターアンプを使い分けており、ヴィンテージライクな真空管アンプからモダンハイゲインアンプまで、幅広い機種を経験しています。

それぞれのアンプがニックのトーンメイキングにどんな貢献をしているのか、代表的なモデルを見ていきましょう。

Friedman / BE-100

機材解説

Friedman BE-100は、ニックがキャリア初期によく使用していたと言われる100W級の真空管ギターアンプ・ヘッドです。

BE-100は「Brown Eye」の愛称で知られ、クラシックな英国マーシャル系アンプのトーンを現代的にチューンしたハイゲインアンプとして、多くのプロギタリストに愛用されています。

ニックもこのアンプから得られる濃密で厚みのあるディストーションサウンドを活かし、ライブではリードプレイに威力を発揮していました。

クリーンチャンネルも備えており、ギターのボリューム操作でクランチからリードまで自在にコントロールできるため、表情豊かなプレイを得意とするニックにマッチしていたのでしょう。

Mesa/Boogie / Mark V

機材解説

ニック・ジョンストンはMesa/Boogie(メサブギー)社製アンプの愛用者としても知られます。

中でもMesa Boogie Mark Vは、パンチの効いたモダン・ディストーションから煌びやかなクリーンまで幅広い音作りが可能な3チャンネル仕様のフラッグシップ・アンプで、彼のサウンドメイクに大きく貢献しました。

Mark Vは5バンド・グラフィックEQを搭載し、多彩なトーンシェイピングが可能な点が特徴です。

ニックはMark Vの第3チャンネルを駆使してソロでの伸びやかなリードトーンを作り出しつつ、第1チャンネルのクリーンではアルペジオやバッキングでの透明感あるトーンを得ていました。

Mark Vはハイゲイン時でも音の分離が良く、複雑なアルペジオや速弾きでも一音一音が明瞭に聴こえるため、ニックの緻密なフレーズを引き立てます。

Mesa/Boogie / Triple Crown TC-50

機材解説

Mesa/Boogieの中でニックが特に気に入って使用していたもう一つのモデルが、Triple Crown TC-50です。

TC-50はEL34管をパワー管に使用した50W出力の3チャンネル・アンプで、クリーンからヘヴィまで自在に切り替えられる多機能機種です。

6モードに切替可能な独立3チャンネル構成や、真空管を差し替えた際のバイアス切替スイッチ、キャビネットシミュレーター出力、MIDI対応など、現代的な装備も充実しています。

ニックはこのTC-50を気に入り、自身のライブセットに組み込んでいきました。

TC-50のリードチャンネルから得られる図太くモダンな歪みは、彼の楽曲の中でもハードな曲調で威力を発揮しました。

一方でクリーンチャンネルはきめ細かくリヴォイスされており、クリーントーン主体のパートでも美しく響きます。

Mesa/Boogie
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Orange / Rockerverb 100 MKIII

機材解説

近年ニック・ジョンストンがメインアンプとしているのが、英国製アンプメーカーOrange AmplificationのRockerverb 100 MKIIIヘッドです。

Rockerverb 100 MKIIIは100W出力の2チャンネル仕様で、クリーンから激歪みまでカバーするパワフルかつ汎用性の高いモデルです。

そのサウンドもまた「一聴してOrangeとわかる英国トーン」に満ちています。

ニックは2022年にOrange社のアンバサダーに就任して以来、このRockerverb MKIIIを手に入れ、「このアンプを通すと自分のプレイがよりナチュラルで有機的、そして“自分らしい”サウンドになる」と絶賛しています。

クリーンチャンネルにも改良が加えられクリーン・クランチの美しさが際立つ一方、ドライブチャンネルではモダンハイゲインまで難なくこなします。

「新しいアンプで自分のトーンがどう進化していくのか、とても楽しみだ」と語るニックの今後のサウンドからも目が離せません。

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Nick Johnston/ニック・ジョンストン|愛用機材【エフェクター】

ニック・ジョンストンは基本的にアンプ直のピュアなトーンを重視するギタリストですが、それでも彼独自のサウンドメイクにはいくつかのエフェクターが重要な役割を果たしています。

特にオーバードライブ系ペダルやディレイ系ペダルを使い分け、楽曲の表情やソロの質感を巧みにコントロールしています。

以下に、ニックが使用している主なエフェクターとその特徴、彼ならではの使い方について紹介します。

J. Rockett Audio Designs / Archer(オーバードライブ)

機材解説

J. Rockett Archerは、「伝説のオーバードライブ」として名高いKlon Centaurの回路を再現したブースト/オーバードライブ・ペダルです。

ニック・ジョンストンはクリーントーンを少し艶やかに持ち上げたり、ソロ時にアンプをプッシュして滑らかな歪みを得る目的でこのペダルを愛用しています。

Archerは驚異的なヘッドルームを備えており、ゲインノブをゼロにすればクリーンブースターとして機能し、ゲインを上げていくと透明感を保ったまま心地よいオーバードライブが得られます。

そのためニックはアルペジオ主体のパートではゲインを下げクリーン寄りのブーストとして使用し、リードパートでは適度にゲインを加えて音に厚みとサスティンを与えるなど、状況に応じた柔軟な使い分けをしています。

まさに「弾き手のニュアンスを損なわない透明な歪み」が得られるArcherは、ニックのお気に入りの一台です。

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Seymour Duncan / 805 Overdrive(オーバードライブ)

機材解説

Seymour Duncan 805 Overdriveは、往年のチューブスクリーマー系ペダルをベースにしつつ3バンドEQを搭載したモダンなオーバードライブです。

クラシックな乾いたドライブサウンドを生み出しつつ、Low/Mid/Highの3バンドEQで幅広い音作りが可能なため、ニック・ジョンストンもアンプや会場の音響に合わせて細やかなトーン調整を行うのにこのペダルを役立てています。

彼はクランチリズムでは805を軽くオンにして中域にハリを持たせたり、リードではミッドを強調して存在感を増すなど、EQ機能を駆使していました。

また、805はノイズが少なくスムーズな歪みが特長で、速いパッセージでも粒立ちが良いため、ニックの精緻なプレイとの相性も抜群です。

ヴィンテージとモダンの良いとこ取りをした805 Overdriveは、ニックのペダルボードにおいて頼れる万能選手と言えるでしょう。

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Horizon Devices / Precision Drive(オーバードライブ/ブースター)

機材解説

Horizon Devices Precision Driveは、現代のメタル/プログレッシブ系ギタリスト向けに開発されたオーバードライブ&ブーストペダルです。

内蔵のノイズゲートによって不要なノイズを除去しつつ、エッジ感のある鋭いドライブサウンドを作り出せるのが特徴です。

元々はジェント系プレイヤーのために開発されたペダルですが、ニック・ジョンストンもこのPrecision Driveを使用してタイトなリズムギターサウンドを追求しています。

例えば速い16分音符のリフやスタッカートの効いたカッティングではPrecision Driveをオンにし、ローエンドを引き締めつつアタックを強調した歪みを作り出します。

さらにノイズゲート機能のおかげでゲインを上げても不要なフィードバックが抑えられるため、静寂と轟音のダイナミクスを自在に操るニックのステージングに一役買っています。

彼にとってPrecision Driveはモダンなハイゲイン・トーンメイクの秘密兵器と言えるでしょう。

Wampler / Euphoria Overdrive(オーバードライブ)

機材解説

Wampler Euphoriaは、名前の通り「陶酔感」を味わえるような上質なオーバードライブペダルです。

きめ細かく上品なドライブサウンドと、まるでチューブアンプをプッシュしたかのような深みと太さが魅力で、ニック・ジョンストンもクリーン〜クランチ領域のトーン作りにこのペダルを活用しています。

特にクリーンアンプの前段にEuphoriaを置いて、わずかにゲインを加えることでアンプライクなクランチトーンを得る使い方を好んでいます。

Euphoriaはレスポンスが良く、ギターのボリューム操作やピッキングの強弱に忠実に反応するため、ニックのダイナミクス豊かな演奏にも寄り添ってくれます。

彼はブルージーなインスト曲でEuphoriaを用い、音に柔らかなコンプレッション感と艶を加えて情感たっぷりに歌わせています。

アンプ直のようなナチュラル志向のオーバードライブを求めるニックにとって、Wampler Euphoriaはまさに理想的なペダルの一つなのです。

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Jim Dunlop / EP103 Echoplex Delay(ディレイ)

機材解説

Dunlop EP103 Echoplex Delayは、伝説的なテープエコー・ユニット「Echoplex EP-3」のサウンドを再現したディレイ・ペダルです。

テープエコー特有の明るくクリアでありながら温かみのあるディレイサウンドを生み出し、ニック・ジョンストンはクリーントーンのバックにさりげなく残響を加える用途で愛用しています。

例えばバラード調の曲でクリーンアルペジオを奏でる際、EP103をオンにして僅かなディレイを掛けることで音に奥行きと余韻を与えています。

そのディレイ音は決して主張しすぎず、あたかも広い空間で演奏しているかのような自然な残響感を演出します。

また、オーバードライブサウンドにもマイルドなエコーを足すことで、ソロに持続感と漂うような雰囲気をプラスしています。

テープエコー的な揺らぎや劣化成分も再現できるため、ニックはヴィンテージライクな暖かさをこの小さなペダルから引き出しています。

Echoplex Delay EP103はニックにとって、「音を歌わせる」ための隠し味とも言える存在でしょう。

MXR / Carbon Copy Bright(ディレイ)

機材解説

通常モデルよりも明瞭でハイが抜けるディレイサウンドが特徴です。

アナログディレイらしい暖かみと太さを保ちつつ、残響音が埋もれずクリアに聞こえるため、ニック・ジョンストンは速いフレーズ中にかけるディレイとして重宝しています。

例えばテクニカルなソロパートでCarbon Copy Brightを使うと、演奏の邪魔をしない程度の短いディレイを加えても音像がぼやけず、粒立ちの良いまま余韻だけを足すことができます。

ニックはこの特性を活かし、曲の後半でフレーズが畳み掛ける場面でもディレイを巧みに織り交ぜてサウンドに厚みを加えています。

また、Carbon Copy Brightならではのアナログ感ある温かい繰り返し音は、彼のメロディアスなプレイにノスタルジックな風合いを添えることも可能です。

原音とエフェクト音のバランスを細かく調整しながら、必要最小限の残響で最大の効果を上げる――そんな玄人好みの使い方をニックはこのペダルで実践しています。

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Way Huge / Echo Puss(ディレイ)

機材解説

Way Huge Echo Pussは、アナログ方式で作られたエコーペダルで、本格的なテープエコーに迫る暖かなサウンドが持ち味です。

ニック・ジョンストンは先述のEchoplex DelayやCarbon Copy Brightと併用して、このEcho Pussも使用することがあります。

Echo Pussはアナログディレイならではの太くまろやかなリピート音が特徴で、ニックはクリーントーン主体の楽曲で空間系エフェクトの主役としてこれを選ぶことがあります。

例えばスローなナンバーでクリーンバッキングに厚みを出したいとき、Echo Pussを使って深めのディレイをかけることで、アンビエントな空間が広がり曲全体を包み込むような効果を生みます。

そのリピート音は柔らかく減衰していくため、演奏の邪魔をせず心地よい残響だけが残ります。

ニックは「Echo Pussを踏むと、一瞬で楽曲に深みとムードが加わる」とコメントしたことがあり、情景を描くようなサウンドメイクに重宝している様子です。

MXR / Smart Gate(ノイズゲート)

機材解説

MXR Smart Gateは、ハイゲインサウンド時に発生する不要なノイズを自動でカットしてくれるノイズゲート・ペダルです。

ニック・ジョンストンのリグでは、特にハイゲインのディストーションを多用するセクションでこのSmart Gateが使われています。

Smart Gateを用いることで、音を伸ばした際のアンプ由来のヒスノイズや、演奏を止めた瞬間のフィードバック音を効果的に抑制できます。

ニックはPrecision Driveなど高いゲインを扱うペダルと組み合わせてSmart Gateを配置し、歪みサウンドでも静寂部分はピタリとノイズを止める設定にしています。

これによりクリーンなパートとのコントラストが際立ち、ダイナミクスの大きい彼の楽曲でも違和感なく静と動を表現できます。

ギターインストでは音と音の“間”も表現の一部ですが、Smart Gateのおかげでニックは安心してその“間”を演出できるのです。

派手さはないものの、縁の下の力持ちとしてニックのサウンドを陰で支える重要なペダルです。

Jim Dunlop / Cry Baby Wah(ワウペダル)

機材解説

Jim Dunlop Cry Babyは言わずと知れた定番ワウペダルで、ニック・ジョンストンもワウを使用する際はこのオーソドックスなモデルを選択します。

Cry Babyは往年のロックから現代の音楽まで世界中のギタリストに愛用されており、踏み込み具合によって「ワウワウ」という独特のフィルター効果を生み出します。

ニックはソロの盛り上がり部分などでCry Babyを踏み、音色に人間の声のようなエクスプレッションを加えることがあります。

速いフレーズの中で細かくワウをかけてリズミカルなニュアンスを出したり、サステインの長い音をゆっくりワウさせてサウンドにうねりを与えたりと、その使い方は多彩です。

特筆すべきは、彼がワウを使う際にもピッキングのニュアンスが埋もれないよう配慮している点です。

Cry Babyは「極めてベーシックなサウンド」ゆえに扱いやすく、ニックは自分の足さばきで細かなニュアンスをコントロールできるこのペダルを信頼しています。

まさに必要十分な機能美を持つワウペダルとして、彼の表現ツールに組み込まれているのです。

Nick Johnston/ニック・ジョンストン|愛用機材【その他】

Ernie Ball / レギュラー・スリンキー弦

ニックはアーニー・ボール(Ernie Ball)社製のレギュラー・スリンキー弦を愛用しています。

そのゲージは.010~.046のいわゆる「010~046のレギュラー」セットで、彼のシグネイチャーモデルの出荷時にもこの弦が張られています。

ニック自身はかつて09~042の細めの弦を好んでいましたが、近年ではレガート奏法での音太さを求めてやや太めの10~046にシフトしたとも語っています。

レギュラー・スリンキーは適度なテンション感と豊かなサスティンが特徴で、ダウンチューニングしない限り標準チューニングで安定したプレイアビリティを提供します。

ニックの演奏は速弾きからビブラートまで表現幅が広いため、張りのあるサウンドと柔軟性のバランスが良い10~46弦はうってつけなのでしょう。

曲中で激しくアーミング(彼の場合はブリッジを押す独特の奏法ですが)してもチューニングが安定し、ライブでも安心して弾けるといいます。

ちなみにシグネイチャー・ギターのナットには滑りの良いGraph Tech社のブラックタスクナットが使われていることもあり、弦と相まってチューニングの安定性に寄与しています。

ピック(Pick)

ニック・ジョンストンはピックにも強い拘りを持っています。

具体的なブランド名は公表していませんが、厚めで先端の尖ったティアドロップ型ピックを使用することが多いようです。

彼の速弾きやハイブリッドピッキングではピックのしなりが少ない方が有利なため、概ね1.0~1.5mm程度の硬くて精密なコントロールが可能なピックを選んでいると推測されます。

あるインタビューでは「昔は薄いピックを使っていたが、重めのゲージの弦にしてからより太いピックの方がレガートが安定することを発見した」と語っており、弦とピックのバランスで奏法を最適化している様子が伺えます。

また、彼はピックのエッジを巧みに使い分けており、速いオルタネイトピッキング時は尖った先端で明瞭に、スウィープやストローク時は角を少し寝かせてアタックを調整するなど繊細なコントロールをしています。

お気に入りの素材はナイロンまたはウルテム系と言われ、手汗で滑らないグリップ感も重視しているようです。

自分の指先の延長とも言えるピック選びにもニックの美学が反映されているのです。

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