ALBIT (1) BEHRINGER (1) Benson Amps (2) Blackstar (3) Bogner (4) BOSS (5) Cornerstone (3) Crazy Tube Circuits (4) Darkglass Electronics (2) DigiTech (1) Dumble (2) E.N.T EFFECTS (2) EarthQuaker Devices (2) electro-harmonix (7) Empress Effects (2) Eventide (1) EVH (2) Fender (8) Free The Tone (3) Friedman (3) Fryette (2) Fulltone (1) Gibson (1) Henriksen (1) HOTONE (4) IK MULTIMEDIA (4) Jackson Audio (1) James Tyler (1) JHS PEDALS (3) Keeley Electronics (8) KEMPER (3) KERNOM (1) klon (2) Laney (1) Limetone Audio (2) Line6 (5) LPD Pedals (1) Mad Professor (1) Magnatone (2) Marshall (5) MESA/BOOGIE (3) Morgan Amplification (1) Morningstar (1) MXR (2) Neural DSP (3) One Control (3) Organic Sounds (2) Origin Effects (1) Ovaltone (2) Paul Reed Smith (5) Pedaltrain (1) Phantom fx (1) Positive Grid (2) Revv Amplification (1) Science Amplification (1) Soldano (2) strymon (8) Suhr (7) Sunfish Audio (1) Supro (2) tc electronic (5) TECH21 (1) Tom Anderson (1) Tone King (1) TONEX (2) Two Notes (1) Umbrella Company (1) Universal Audio (4) VALETON (1) VEMURAM (7) Victory Amps (3) Virtues (3) Vox (1) WALRUS AUDIO (4) Wampler (6) Warm Audio (3) Xotic (10) YAMAHA (2)
【まとめ】Robben Ford/ロベン・フォードの使用機材【アンプ・ギター・エフェクター】

国内外で活躍するギタリストの愛用機材をまとめて取り上げる「プレイヤーズ・リグ」
現代のエレクトリック・ギター・シーンにおいて、まさに「洗練されたトーン」の代名詞と言っても過言ではありません。
Robben Ford
荒々しいブルースの魂と、知的なジャズの和声感覚が奇跡的なバランスで融合したそのサウンド。それを支えているのは、一切の妥協を許さない機材選びと、それらを完全に支配する卓越したテクニックです。
機材に求める哲学、その根底にあるのは「タッチ・センシティビティ(Touch Sensitivity)」への渇望です。アンプのチャンネルを切り替えるのではなく、ピッキングの強弱と手元のボリューム操作だけで、透き通るようなクリーントーンから叫ぶようなオーバードライブまでを自在に行き来する。そのスタイルは、多くのギタリストにとって到達不可能な「聖域」として憧れの対象となっています。
本記事では、ロベン・フォードのキャリア、愛用するギター、伝説的なアンプ、そして足元のペダルボードに至るまでを徹底的に解剖します。彼の代名詞である「Dumble Overdrive Special」の実像や、長年愛用する1960年製テレキャスターの秘密、そして近年のペダルボードの進化について、紐解いていきましょう。
Robben Ford|Profil

生年月日:1951年12月16日
出身:アメリカ・カリフォルニア州ウッドレイク
Biography
【1951–1969】 サックスから始まった音楽人生とブルースへの開眼
ロベン・リー・フォード(Robben Lee Ford)は、1951年12月16日、カリフォルニア州ウッドレイクに生まれ、ユカイアで育ちました。音楽一家に生まれた彼が最初に手に取った楽器は、意外にもギターではなくアルト・サックスでした。10歳からサックスを始めた彼は、ポール・デズモンド(Paul Desmond)やデイヴ・ブルーベック・カルテット(The Dave Brubeck Quartet)といった洗練されたジャズに深く傾倒していきました。
この「サックス奏者としての原体験」は、後の彼のギター・プレイに決定的な影響を与えています。多くのギタリストが「指板上の運指」でフレーズを構築するのに対し、ロベンは「管楽器的なブレス(息継ぎ)」や「歌うようなフレージング」をギターで再現しようと試みているのです。彼がギターに転向したのは14歳の時。ポール・バターフィールド・ブルース・バンド(The Paul Butterfield Blues Band)のマイク・ブルームフィールド(Mike Bloomfield)やエルヴィン・ビショップ(Elvin Bishop)のプレイに衝撃を受けたことが、そのきっかけでした。
【1970–1973】 ジミー・ウィザースプーンとチャールズ・フォード・バンド
18歳でプロとしてのキャリアをスタートさせたロベンは、兄弟のパトリック(ドラム)、マーク(ハーモニカ)と共に「チャールズ・フォード・バンド(The Charles Ford Band)」を結成します。彼らの演奏は、伝説的なブルース・シンガー、ジミー・ウィザースプーン(Jimmy Witherspoon)の耳に留まり、ロベンは彼のバックバンドに抜擢されることになります。ウィザースプーンとの共演は、ロベンにとって「ブルース大学」とも言える期間でした。ウィザースプーンのスタイルは泥臭いデルタ・ブルースというよりは、ジャズやR&Bの要素を含む都会的なブルース(アーバン・ブルース)であり、ロベンはここでコードワークの重要性と、歌手をサポートするための「バッキングの美学」を学びました。アルバム『Live』や『Spoonful』では、ギブソンL-5やスーパー400といったフルアコを使用しており、若き日の彼がすでに完成されたブルース・フィーリングを持っていたことが確認できます。
【1974–1976】 L.A.エクスプレスとジョニ・ミッチェル:和声の革命
1974年、サックス奏者トム・スコット(Tom Scott)に見出され、フュージョン・グループ「L.A. エクスプレス(L.A. Express)」に参加したことは、ロベンのキャリアにおける最大の転機となりました。このバンドは、ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)のバックバンドとして、アルバム『Court and Spark』のツアーや『The Hissing of Summer Lawns(夏草の誘い)』、『Miles of Aisles』のレコーディングに参加します。ロベンはこの時期を「音楽人生で最も形成的な2年間」と振り返っています。ジョニ・ミッチェルは、変則チューニングを駆使した独自のコードヴォイシングと、ジャズの枠にも収まらない自由な楽曲構造を持っていました。彼女との作業を通じて、ロベンは伝統的なブルース進行の枠を超え、より複雑で色彩豊かなハーモニー感覚を身につけたのです。また、機材面でもジョニの影響を受けており、彼女がスタジオで「Maestro FZ-1 Fuzz-Tone」を使用していたエピソードなど、音響的な実験精神にも触れています。
【1974】 ジョージ・ハリスン「ダーク・ホース・ツアー」の混沌と成長
L.A. エクスプレスでの活躍は、元ビートルズのジョージ・ハリスン(George Harrison)の注目を集めることとなります。ロベンはジョージの初となる北米ソロツアー「Dark Horse Tour」のギタリストに抜擢されました。当時わずか22歳であったロベンにとって、ビートルズのメンバーとスタジアム・クラスの会場で演奏することは、想像を絶するプレッシャーだったことでしょう。
このツアーは、ジョージの喉の不調やリハーサルの遅延などにより、音楽的には混沌としたものであったとロベンは回想しています。「あまりクリエイティブな余地はなく、ジョージがギターを弾き、私もギターを弾く、ただそれだけだった」と語る一方で、大規模なプロダクションの中でのプロフェッショナリズムを学ぶ貴重な機会となりました。
【1977–1985】 イエロージャケッツの結成とフュージョンへの傾倒
1977年、ロベンは自身のソロ・プロジェクト『The Inside Story』のために集めたミュージシャンと共に「イエロージャケッツ(Yellowjackets)」を結成します。当初はロベンのバックバンドという位置づけでしたが、ラッセル・フェランテ(Key)やジミー・ハスリップ(Bass)といった名手たちとの化学反応により、バンドは独立したフュージョン・グループとして成功を収めました。この時期のロベンは、フェンダーのプロトタイプ・ギター「Esprit Ultra」などを使用し、よりモダンで歪みの深いトーンを追求し始めました。ブルースのルーツを持ちながらも、複雑なキメや変拍子を含む楽曲を弾きこなす彼のスタイルは、当時のフュージョン・シーンにおいても異彩を放っていました。
【1986】 マイルス・デイヴィスとの伝説的な半年間
1986年、ジャズの帝王マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のバンドに招かれたことは、ロベン・フォードの名声を不動のものとしました。マイク・スターン(Mike Stern)の後任として参加したロベンは、マイルスから「ただ演奏しろ(Just play)」というシンプルな指示の下、極限の緊張感の中で創造性を試されました。マイルスとの共演期間はわずか6ヶ月(1986年4月〜9月)でしたが、この経験はロベンに「自分の音楽を追求すること」の重要性を痛感させました。「マイルスの横で演奏することは光栄だったが、自分の居場所ではないとも感じた」と語り、彼は自身のルーツであるブルースと歌に戻ることを決意します。アルバム『Montreux 1986』などで聴ける彼のプレイは、マイルスの鋭いトランペットに対抗しうる、攻撃的かつ知的なギターソロの極致です。
【1988–現在】 ソロ・アーティストとしての確立と進化
1988年のソロアルバム『Talk to Your Daughter』のリリースにより、ロベンは「ブルース、ジャズ、フュージョンを統合したソロ・アーティスト」としての地位を確立しました。このアルバムで聴ける、Dumbleアンプを使用した太く甘いトーンは、世界中のギタリストに衝撃を与え、「ロベン・フォード・トーン」という言葉を生み出しました。以降、バンド「The Blue Line」を率いての名盤『Robben Ford & The Blue Line』(1992)、『Mystic Mile』(1993)や、近年の『Purple House』(2018)、『Pure』(2021)に至るまで、彼は常に新しいサウンドを模索し続けています。2024年から2025年にかけては、機材面でも新たなプリアンプ(PeaceHILL Effects)を導入するなど、その探究心は衰えることを知りません。
Robben Ford|Play&Music
Mama Talk To Your Daughter (Live at Montreux 1993)
彼のキャリア最高峰と称されるトリオ「The Blue Line」時代の、伝説的なモントルー・ジャズ・フェスティバルでの演奏です。
「史上最も良い音がした夜」としてファンの間で語り草になっています。Dumble ODSの、あの粘り気のあるドライブサウンドと、テレキャスターの食いつきが完璧に融合しています。ブルースの枠を超えたスリリングなインタープレイと、圧倒的な「音の太さ」を確認するための教科書的なライブ映像です。
Worried Life Blues (Live at Ohne Filter 1993)
1993年ドイツでの『Worried Life Blues』。特筆すべきは、足元のペダルを一切踏まず、手元のボリュームとピッキングの強弱だけで「鈴鳴りのクリーン」から「咆哮するドライブ」まで自在に操る点です。
Dumble ODSの真価である「タッチへの追従性」が極限まで発揮されており、歪んでいるのに音が潰れない、あの魔法のようなサウンドが堪能できます
08:47 〜 (Worried Life Blues)
Help The Poor (Live at New Morning 2001)
先の2つが「完成された芸術」なら、こちらは「ライブハウスでの生々しいグルーヴ」が魅力。特に注目すべきはソロ以外の「バッキング(コンピング)」の巧さです。ボーカルの裏で彼が奏でるオブリガードやリズムカッティングは、それだけで一つの楽曲のように機能しています。「歌いながら弾くギタリスト」としてのロベンの、最も脂が乗った時期の”いなたい”カッコよさが凝縮されています。
39:35 〜 (Help The Poor)
Robben Ford|愛用機材【ギター】
Fender / 1960 Telecaster (White Blonde)

機材解説
| モデル | Fender Telecaster (1960年製) |
| ボディ材 | アッシュ(Ash) |
| フィニッシュ | ホワイト・ブロンド(シースルー) |
| 指板 | ブラジリアン・ローズウッド(スラブ貼り) |
| 重量 | 約3.25kg (3250g) |
| ピックアップ | オリジナル・シングルコイル (Bridge: ~7.01kΩ, Neck: ~6.87kΩ) |
| 入手先 | Black Market Music (San Francisco) |
このギターは、ロベンが敬愛するマイク・ブルームフィールドがバターフィールド・ブルース・バンドのアルバムジャケットで使用していた白いテレキャスターへの憧れから購入されました。ツアー中にサンフランシスコの楽器店「Black Market Music」で偶然見つけ、試奏した瞬間に「店を出る時にはこれを持っていなければならない」と確信したという、まさに運命の一本です。
一般的にテレキャスターは鋭い高音(トゥワング)が特徴とされますが、ロベンのこの個体は驚くほど中域が太く、温かみがあるのが特徴です。彼はこのギターを「ワークホース(Workhorse)」と呼び、ライブの50%以上で使用することもあります。 特にリア・ピックアップのサウンドについて、ロベンは「トレブルが痛くなく、しかし明確な輪郭がある」と評しています。一部のフォーラムでは、ピックアップがリワインド(巻き直し)されているのではないかという議論もありますが、ドイツのヴィンテージショップ「GuitarPoint」による詳細な計測データでは、ブリッジ側が7.01kΩ、ネック側が6.87kΩと、当時の仕様としても十分にあり得る数値が記録されています。
「もしギターを一本しか持てないとしたら、このテレキャスターを選ぶだろう。これがあれば、ほとんど全てのことができる」と語るほど、絶大な信頼を置いています。
Gibson / 1954 Les Paul Goldtop (Conversion to ’57 Specs)
機材解説
近年、テレキャスターと双璧をなすメイン・ギターとなっているのが、この1954年製ギブソン・レスポール(コンバージョン)です。
| ベースモデル | 1954 Gibson Les Paul Goldtop |
| モディファイ | P-90 → PAFハムバッカーへ換装、Tune-O-Maticブリッジ搭載 |
| 塗装 | Tom Murphyによるリフィニッシュ(トップのみ説あり) |
| 作業担当 | Glaser Instruments (Nashville) |
| 入手経緯 | 1952年製レスポールとのトレードで入手 (Carter Vintage Guitars) |
もともとロベンは1952年製のレスポール・ゴールドトップを所有していましたが、ブリッジ構造(トラピーズ・テイルピース)に演奏上の不満を感じていました。ナッシュビルの有名ヴィンテージショップ「Carter Vintage Guitars」を訪れた際、この1954年製と出会い、トレードを行いました。 この個体は入手時点で既にブリッジ周辺に改造痕があったため、オリジナル・ヴィンテージとしての価値よりも「プレイヤーのための最高の楽器」へと昇華させる道が選ばれました。
改造作業は、ギター界の巨匠たちによって行われました。塗装の剥離とリフィニッシュは、ギブソン・カスタムショップのエイジング技術の第一人者であるトム・マーフィー(Tom Murphy)が担当。そして、P-90キャビティのハムバッカー用への拡張やブリッジの設置といった木工加工は、ナッシュビルの名リペアマン、ジョー・グレイザー(Joe Glaser)が行いました。 搭載されたピックアップはオリジナルのPAF(Patent Applied For)であり、これにより「1957年製ゴールドトップ」と同等のスペックを持つギターへと生まれ変わりました。ロベンはこのギターを「非常に気に入っている」と語り、近年のライブやアルバム『Pure』などでメインで使用しています。
Fender / Robben Ford Signature (Esprit)

機材解説
1980年代から90年代にかけてのロベンを象徴するのが、フェンダーから発売されていたシグネチャーモデルです。
- 開発の背景
当時、フェンダーはギブソンに対抗しうるハムバッカー搭載のセットネックギターを模索していました。ロベンは「Gibson ES-335のようなサウンドだが、よりボディが小さく、明るい音がするギター」をリクエストしました。 - 仕様
スプルース・トップ、アルダー/チェンバード・ボディ、エボニー指板、ダブル・カッタウェイ。 - 特徴
セミホロウ構造によるエア感と、エボニー指板による立ち上がりの速さが特徴です。名盤『Talk to Your Daughter』のジャケット写真でロベンが抱えているのがこのギターであり、彼のキャリアにおける一つのアイコンとなっています。
Epiphone / 1966 Riviera & Casino

機材解説
ロベンは時折、意外なビンテージ・ギターを使用し、ファンを驚かせます。
- 1966 Epiphone Riviera
アルバム『Purple House』などで使用。ミニ・ハムバッカー特有のブライトさと、ES-335に近いボディ構造が気に入っているようです。 - 1966 Epiphone Casino (or Century)
アルバム『A Day in Nashville』(2014)のレコーディングでは、ナッシュビルのショップで見つけたこのギター1本ですべてのトラックを録音したという逸話があります。彼は「スタジオではエフェクトを使わず、ギターとアンプだけで勝負する」ことを好む傾向があり、P-90を搭載したフルアコ構造のこのギターは、その哲学を体現する選択でした。
Gibson / SG (1963/64)

機材解説
比較的新しいお気に入りとして、1963/64年製のギブソンSGがあります。
- 仕様
ストップ・テイルピースではなく、元々はサイドウェイ・トレモロなどが付いていたモデルをマエストロ・ヴァイブローラ等に変更しています(アームは使用しません)。 - 特徴
SG特有の突き抜けるようなミッドレンジが特徴で、テレキャスターやレスポールとは異なる帯域をカバーするために使用されます。
Robben Ford|愛用機材【アンプ】
Dumble / Overdrive Special (ODS) Serial #002

機材解説
ロベンが所有する「Overdrive Special」は、アンプ界の伝説です。シリアルナンバーは「002」。#001は製作者のダンブル氏本人が所有していたため、実質的に顧客へ渡った最初の一台と言えます。
| モデル | Dumble Overdrive Special (100W/50W Switchable) |
| 製造年 | 1980年代初期 (1983年頃入手) |
| パワー管 | 6L6 x 4 |
| コントロール | Volume, Treble, Middle, Bass, Overdrive Level, Ratio, Master |
| スイッチ | Bright, Deep, Jazz/Rock |
| キャビネット | Dumble 2×12 Open Back Cabinet |
| スピーカー | Celestion G12-65 (8Ω) x 2 |
ダンブル・アンプの最大の特徴は、クリーン・チャンネルであっても豊かな倍音とコンプレッションを持ち、サステインが長いことです。ロベンはこのアンプを「自分の声を拡張してくれる楽器」と捉えています。
- Rock/Jazz Switch: ロベンは通常「Rock」モードを使用し、よりミッドレンジが強調されたゲインの高いサウンドを作ります。
- Preamp Boost: 足元のスイッチでプリアンプ・ブースト(PAB)をオンにすることで、トーン回路をバイパスし、さらにゲインと音量を稼ぐことができます。
- Dumbleator: エフェクトループには、ダンブル製のチューブ・バッファー「Dumbleator」が接続されることが多いです。これにより、空間系エフェクトをかけても原音の太さが損なわれません。
その希少価値(数千万円単位)とメンテナンスの難しさから、海外ツアーなどに持ち出されることは稀になっています。代わりに、後述するペダルや別のアンプでこのサウンドを再現する手法が取られています。
Fender / Super Reverb (Blackface)

機材解説
ロベンにとっての「信頼できるレンタル機材」であり、スタンダードなアンプがフェンダーのスーパー・リバーブ(ブラックフェイス期)です。
- 使用シチュエーション: ダンブルを持参できない海外ツアーや、小規模なクラブギグ。
- セッティングの秘訣: ロベンは「All 6s(すべて6)」や「All 4s(すべて4)」といったフラットに近い設定から始め、会場の響きに合わせて微調整を行います。ボリュームは6〜7程度まで上げ、アンプ自体が軽くドライブし始めるポイント(スウィートスポット)を探ります。
- ペダルとの相性: 10インチスピーカー4発という構成は、レスポンスが速く、オーバードライブ・ペダル(特にZendrive)との相性が抜群に良いのです。
Little Walter / Custom 59 & 89


機材解説
2019年以降、ロベンがダンブルの代替として、あるいは新たなメインアンプとして導入したのが、ノースカロライナ州のブティック・メーカー「Little Walter Amps」です。
- 導入の経緯: ナッシュビルの楽器店でヴィンス・ギルらと共に試奏し、その音に惚れ込んだ。
- 特徴: 50年代のヴィンテージ・フェンダー・ツイード回路をベースにしつつ、よりHi-Fiでクリアな特性を持つ。ダンブルに比べてより「オープン」で、ペダルへの反応が極めて素直。
- 構成: シングル・チャンネルのアンプであり、ロベンはこのアンプをクリーン〜クランチの手前で設定し、手元のボリューム操作とペダルで歪みをコントロールするスタイル。
Robben Ford|愛用機材【エフェクター】
近年の構成
イギリスの「TheGigRig」のダン・スタインハート(Dan Steinhardt)によって構築された最新のボードは、まさに機能美の極致。
| ブランド | 製品名 | 役割・解説 |
| Hermida Audio | Zendrive | 【不動のメイン歪み】 ダンブルアンプのドライブサウンドを再現するペダル。ロベンのボードから外れることはない絶対的な存在です。 |
| PeaceHILL Effects | ODS / SSS Preamp | 【最新の核心】 日本のブランド。真空管(12AX7等)を搭載したプリアンプ。ダンブルの「SSS(Steel String Singer)」や「ODS」のクリーントーンを足元で作るために2024年に導入されました。 |
| Strymon | TimeLine | 【ディレイ】 多機能ですが、ロベンはシンプルなテープエコーやアナログディレイの設定を好みます。 |
| JAM Pedals | Boomster mk.2 | 【ブースター】 テレキャスター使用時に音の太さを補うために使用。3ポジションのスイッチでミッドレンジの特性を変更可能です。 |
| JAM Pedals | Wahcko | 【ワウ】 ヴィンテージ・ヴォックスのようなスウィープを持つワウ。 |
| Vertex Effects | Boost | 【バッファー/ブースト】 ボリュームペダルのインサート用として、または純粋なクリーンブーストとして使用されます。 |
| TC Electronic | PolyTune 3 Mini | 【チューナー】 省スペースで高精度の定番チューナー。 |
| TheGigRig | G3 / QMX 6 | 【スイッチャー】 使用していないペダルを回路から完全に切り離すために使用されます。 |
Hermida Audio / Zendrive

機材解説
ロベン・フォード・サウンドを目指す者にとっての「聖杯」です。アルフォンソ・エルミダ(Alfonso Hermida)が開発したこのペダルは、ロベンのダンブルアンプの特性をリファレンスにして作られたと言われています。「Voice」ノブによって中域のキャラクターを微調整でき、フェンダーアンプに接続するだけで「ダンブルライク」な滑らかなサステインと粘りを得ることができます。
PeaceHILL Effects / ODS Tube Preamp
機材解説
ロベン・フォードが辿り着いた、Dumbleの「最適解」
伝説のトーンマスター、ロベン・フォード。 彼のサウンドといえば、時価数千万円のアンプ「Dumble ODS」が代名詞ですが、2024年のツアー機材にある“革命”が起きました。
彼がDumbleの代わりとして足元に置いたのは、日本のガレージブランド 『Peace Hill FX』の「ODS Tube Preamp」。
以前一部で噂されたSSS(Steel String Singer)系ではなく、彼が選んだのはやはり、自身の象徴であるODS(Overdrive Special)の回路でした。本物の真空管を高電圧で駆動させるこのプリアンプは、もはやエフェクターという枠を超えた「持ち運べるアンプヘッド」です。
特筆すべきは、その「使い方」にあります。 ロベンは現地のレンタルアンプ(Fender Twinなど)のインプットではなく、リターン端子(Power Amp In)に接続しています。
レンタルアンプの回路をバイパスし、Peace Hill FXをそのままサウンドの心臓部(プリアンプ)として駆動させる。
これにより、アンプの個体差に左右されず、世界中どこでも「完全なDumbleサウンド」を再現するメソッドを確立したのです。日本のクラフトマンシップが、ついにギターの神様の耳を唸らせた瞬間でした。
JAM Pedals / Boomster mk.2

機材解説
ロベンは近年、ギリシャの「JAM Pedals」を愛用しています。特に「Boomster」は、出力の低いヴィンテージ・テレキャスターを使用する際に重要となります。彼はこれを常時オンにするのではなく、ソロや特定のフレーズで音に厚みを加えるために踏んでいます。インタビューでは「テレキャスターのブライトさを保ちつつ、必要な太さを加えてくれる」と絶賛しています。
TheGigRig / More Or Less (Input Buffer & Gain)
機材解説
ボードの最初段(ワウの後、スイッチャーの前)に配置される、目立たないが極めて重要なペダル 。
- 役割: 信号のインピーダンス調整とゲイン補正。
- 使用法: ロベンは出力の異なるギター(テレキャスターとレスポールなど)を持ち替える際、このペダルで入力レベルを補正する。また、バッファー回路における「Drag(負荷)」を調整することで、長いシールドケーブルを通した時のような自然な高域の減衰(ロールオフ)をシミュレートし、デジタル臭さのない、有機的な弾き心地を確保。
TheGigRig / HumDinger (Output Splitter)

機材解説
シグナル・チェーンの最後段に配置。
- 役割: 信号を2つのアンプへ分岐させる(デュアル・モノラル、またはウェット/ドライ)。
- 重要性: 一方の出力にアイソレーション・トランスを搭載しており、2台のアンプを使った際に発生する「グラウンド・ループ(ハムノイズ)」を完全に遮断。また、位相(フェイズ)反転スイッチを備えており、2台のアンプの位相を正しく揃えることで、低音が打ち消し合うことなく、太く迫力のあるサウンドを出力。
Strymon / TimeLine

機材解説
ロベン・フォードはヴィンテージ機材愛好家です、ディレイに関しては最新のデジタル・ワークステーションであるStrymon TimeLineを採用しています。これは、彼がかつて愛用していたラック式ディレイ(TC Electronic 2290など)の高品位なサウンドを、足元で再現できる信頼性を評価してのこと。
具体的なセッティング(Delay Times)
ロベンは以下の3つのタイム設定を使い分けている。
- 116ms (Slapback):
- 用途: ロックンロールやシャッフルのリズム・プレイ用。
- 効果: 1950年代のサン・スタジオ・サウンドのような、非常に短い反響。音が太くなり、パーカッシブなアタック感が強調される。フィードバックはほぼゼロ(1回のみ)に設定。
- 168ms (Ambience/Room):
- 用途: 基本的な「かけっぱなし」の設定。
- 効果: 原音と分離しつつも、リズミックになりすぎない絶妙な長さ。ギターの音に「空気感(Air)」を与え、ドライになりすぎるのを防ぐ。ロベンの代名詞的な、広がりがありつつ芯のあるトーンの秘密の一つ。
- 250ms〜 (Solo/Ballad):
- 用途: スロー・ブルースやバラードのリード・ソロ用。
- 効果: 長いサステインと深い余韻を作る。フィードバックを高めに設定し、音が空間を漂うような演出を行う。
JAM Pedals / Wahcko

機材解説
ワウ・ペダルもまた、ロベンの表現力の要である。彼はワウを単なる「ワカチョコ」というリズム楽器としてだけでなく、トーン・フィルターとして使用する 。
- Red Fasel Inductor: JAM Wahckoは、ヴィンテージ・ワウの心臓部である赤FASELインダクターを採用しており、スムーズでボーカルのような(Vocal-like)響きを持つ。
- 配置: 常にシグナル・チェーンの最前段(バッファーやスイッチャーの前)に配置される。これは、ハイ・インピーダンスのギター信号を直接受けることで、ワウの掛かり具合を最大限に活かすためである 。
ロータリー・スイッチの設定
Wahckoの最大の特徴は、周波数帯域を切り替える6ポジションのロータリー・スイッチである。
- ロベンの設定: 彼は通常、真ん中から低域寄り(ポジション3または4)の設定を好む 。
- 理由: 一般的なワウ(Cry Baby等)の突き刺さるような高域(トレブル)を避け、より中低域に重心のある「太い」ワウ・サウンドを求めているため。これにより、ワウを半止め(Cocked Wah)にした際、サックスやトランペットのような強力なミッド・ブースト効果を得ることができる。
TheGigRig / QMX6 (Switching System)

機材解説
ロベンのボードの心臓部は、プログラム可能なMIDIスイッチャーではなく、TheGigRigの「QMX6」というアナログ・ループ・スイッチャー。
- 機能: 6つのループを持ち、各エフェクターをトゥルー・バイパス化する。
- 導入理由: 多数のペダルを直列に繋ぐことによる音質劣化(Tone Suck)を防ぐため。QMX6の採用により、ペダルを使用していない時は、ギターからアンプまでがまるで直結されているかのような鮮度を保つことができる。また、ロベンは演奏中に直感的にペダルをON/OFFすることを好むため、プリセット呼び出し型よりも、各ループが物理スイッチに対応しているQMX6のようなストリップ型スイッチャーが適している。
Robben Ford|愛用機材【その他】
ピック:D’Andrea 351 “Pro Plec”

機材解説
- ブランド/モデル: D’Andrea (ダンドレア) Pro Plec 351 Shape (Standard)
- 厚さ: 1.5mm (Heavy/Extra Heavy相当)
- 素材: 特殊な熱可塑性プラスチック(Thermoplastic)。ヴィンテージのセルロイドに近い、温かみのあるアタック音が特徴です。
- ロベン流ピック・テクニック: ロベンはピックの先端(尖った部分)を使って弾きません。彼はピックを横に持ち、丸みを帯びた「肩(Shoulder)」の部分を弦に当てて弾きます。
- 先端を使うとアタック音が鋭くなりすぎ、音が細くなる傾向があるからです。一方、丸い部分を使うことで、弦に当たる面積が増え、太く、マイルドで、かつスムーズな弦離れを実現できます。これにより、速いパッセージでも音が暴れず、彼の特徴である「レガートなフレージング」が可能になるのです。
弦:D’Addario EXL110

機材解説
長年にわたりダダリオのエンドーサーを務めています。
- エレクトリック:D’Addario EXL110 (10-46 Regular Light)
- 標準的なゲージを使用しています。彼は「弦高を少し高め」に設定することを好み、それによって弦の張力を稼ぎ、音にパンチを出しています。
- フラットワウンド: ジャズ寄りのプレイや、特定のアーチトップギターには ECG23 (10-48) や ECG26 (13-56) などのフラットワウンド弦を使用し、指板ノイズを抑えたウォームなトーンを作ることもあります。
ケーブル:Evidence Audio / Mogami


機材解説
ケーブルの方向性や品質にも気を配っています。
- Evidence Audio
「Lyric HG」や「Melody」を使用。単線構造による信号の純度の高さと、特に中域の情報量が豊かで、ダンブルアンプの特性を損なわない点を評価しています。 - Mogami 2524
「嘘をつかない、フラットな音」。 高域がギラついたり、低域が膨らんだりする「味付け」が一切なく、彼の繊細なタッチとDumbleアンプのニュアンスを、そのままストレートに伝送できる点が採用の決め手。





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